有識者は番組の「視覚的な変化」を指摘
J-CASTニュースは20年10月9日、日本のお笑い文化に詳しい江戸川大学の西条昇教授に取材した。西条教授はバラエティー番組における「身体を張った芸」の視覚的な変化を挙げつつ、以下のように指摘した。
「かつて『逆バンジー』などを行っていた『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!』(89年〜96年、日本テレビ系)が放送され、ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんらがバリバリに身体を張っていた頃と比べると、昨年の佐野史郎さんや今回の斎藤さんが挑んだ実験は、一見それほど危険そうには見えないかもしれない。それでも、タレントが怪我を負うリスクは変わらず潜んでいた」
「もし、今回のような事故が起きず普通に放送されていれば、視聴者がその危険性に気づくことはなかったのではないか。今回のようなことが起きたからこそ、『芸人が危険な目にあっている』という指摘も多く生まれたと思う」
今回の実験について番組側は、制作スタッフがシミュレーションを重ねるなどさまざまな安全対策を講じていたものの、結果として安全対策が行き届いていなかった、と公式サイト上で伝えている。
西条教授も「スタッフによるシミュレーションでは問題がなくても、本番で事故が起こる可能性は否定できない」としつつ、「制作側は『事故が起こるリスクがある』ということに常に向き合った上で、番組を作っていかなければいけない。芸人は番組を信頼しているからこそ、危険な仕事を受けている。その信頼に応えていく必要がある」と語った。