「何かを育てる気持ちはジェンダーレスの世界」
演じたトランスジェンダーの凪沙(なぎさ)は、服部樹咲(みさき)さん(14)演じる一果(いちか)との出会いの中で、やがて「母親になりたい」という思いを強くする。草なぎさんは、「母の気持ち」を表現するにあたっての考え方をこう語っている。
「凪沙というキャラクターが徐々に母性に目覚めていかないといけない。そこはすごく難しかったです。でも、何かを育てる気持ちはジェンダーレスの世界というか、男性も女性も変わらないのではないかと思いました。植物を育てる、好きな工作...何かを育んでいく気持ちで演じていくうちに、『もしかしたらこれが母性なのかな』と目覚めてきた感じでした」
内田監督は同作について「確かにどうしてもトランスジェンダーの映画と括られてしまいます。ただ基本的には、血はつながっていないけど、母性と愛情の物語。トランスジェンダーというのはその背景にある物語です」と位置付ける。そのうえで「僕も草なぎさんと話す時、凪沙というキャラクターをどう作り込むか、凪沙という主人公の映画をどう展開していくか、という話をずっとしていた」と、役作りについて草なぎさんと話し合いを続けたことを明かしている。
また、映画には凪沙の同僚・アキナ役として、トランスジェンダーであることを公表している役者の真田怜臣(れお)さん(31)が出演。内田監督は「草彅さんの演技に真田さんも感化されて、どんどん演技が良くなっていった」と2人の演技を高く評価した。
草なぎさんは最後に「デリケートな問題がこの作品の中で描かれていますが、皆さんの考えるきっかけになっていただけたら良いなと思います。自分自身『良い映画だな』と思える作品に出演できたことが嬉しいので、この感動を1人でも多くの人に届けられたらなと思っています」と語っていた。
(J-CASTニュース編集部 青木正典)