現在実施中の国勢調査で、すべての回答欄を黒塗りした調査票がネット上で物議をかもしている。
情報開示が不十分な政府への抗議が目的で、立憲民主党の真山勇一参院議員は「この怒りに100%同感する」と黒塗りを推奨していると受け取られかねない言及をしている。
「国会議員の発言としては看過できない」
真山氏は2020年10月6日、ツイッターで「こういう黒塗り文書を幾度となく出された側として、この怒りに100%同感する」と投稿した。
添えられた写真には、黒塗りされた異様な調査票が添えられている。張り付けられた付箋には「国民が国に求める情報を全て開示してからにしろ!!」と書かれている。
この写真は、2日前に一般のツイッターユーザーが投稿したものを転載したとみられる。この人物は、黒塗りにして提出する予定だという他のユーザーに同調するコメントともにこの写真を公開していた。リプライ(返信)欄には「これ最高」「いいですね、後に続きます!」などと書き込まれ、こうした行為をする人は一定数いるとみられる。
一方、真山氏には「国会議員の発言としては看過できない」「国の基礎となる統計に協力しないことに同調する国会議員って一体何なんですか?」などと問題視する声が多数寄せられている。
統計法には罰則規定があり、61条では「第十五条第一項の規定による資料の提出をせず、若しくは虚偽の資料を提出し、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者」には50万円以下の罰金を科すとある。
総務省担当者も困惑
総務省国勢統計課の担当者は7日、J-CASTニュースの取材に、黒塗りされた調査票について「ニュースなどで承知しています」と困惑気味に話す。
調査票はまず市区町村が回収し、黒塗りなど調査に支障をきたすような不備がないか審査する。もし問題があれば、市区町村の職員や調査員が対象世帯に連絡し、正確な情報を聞き取る。
世帯が特定できない場合、その世帯は「未提出」扱いになるため、回答を再要請する。それでも協力が得られない場合、調査員がマンションの管理会社や近隣住民に聞き取りをする。
罰則の適用事例は一度もないといい、「強制的に回答を求めてしまうと、正確な統計情報を得るのが難しい」などが理由だという。