日本学術会議の任命拒否問題で、尾木ママこと教育評論家の尾木直樹さん(73)が、政府のやり方は日本的ないじめに当たるのではないかとブログで問題提起し、賛否が分かれる議論になっている。
「島国の閉鎖社会性」。尾木さんは2020年10月4日、ブログを更新して、こんなタイトルで学術会議の問題に言及した。
「教師も社会も政治の世界も、多様性を認め難い同調圧力に弱く」
尾木さんは、国民的人気を呼んだテレビドラマ「半沢直樹」で主人公が使った「倍返し」のフレーズを引き合いに出し、「いじめ返し」との表現を取り上げた。
いじめの「加害者と同じ行為で原則的にダメ」なことは衆目の一致するところだとして、「何故、日本だけがいじめが突出して多いのか?しかも、いつまでも減らないのか? なにが海外と違うのか?」と問いかけた。
これに対し、尾木さんは、日本が海外と違う点として、
「教師も社会も政治の世界も、多様性を認め難い同調圧力に弱く排他的な島国根性の風土性」の3点を挙げる。
「自己主張させないで、空気を読んだり、忖度で全て動く文化」
「民主主義や人権感覚の遅れ」
そのうえで、「今、話題の日本学術会議メンバー六人外しなどまるで【いじめ的手法】に見えて仕方ありません」と学術会議の問題につなげた。
政府に対しては、「問題ありなら正々堂々と指摘して前進してほしい」と注文を付け、「子どもたちはこのニュースを見てどう思うでしょう! いじめ方の見本にならないか心配です」と疑問を呈した。
尾木さんは、政府が6人を任命しなかったことについて、次のようにも苦言している。
「特権組織になり日本の教育をダメにしてきたのでは?」
「なんか民主主義 多様性の認め合い インクルーシブ社会への展望が見えてこない出来事ですねー」
「〈風通し良い〉〈多様性の尊重〉〈人権〉 いじめ返しの発想が生まれる日本の閉鎖社会の問題の根深さ」
尾木さんの意図ははっきりしないが、政府による「いじめ返し」を指すとすれば、6人が安保法制や共謀罪法などで政府の姿勢に反対の立場を取ったことに関係付けている可能性がある。
尾木さんの問題提起に対しては、10月7日もネット掲示板などで賛否が割れる議論が続いている。
ブログのコメント欄などでは、「その通りですよね! 説明責任があると思います」「益々忖度学者が増えて、前に進まない」「理想は、異論反論大歓迎!異論反論当たり前!みたいなのがいいですよね」と尾木さんの主張に共感する声が寄せられた。大人にもあるといういじめ構造については、「いじめがなくならないのは、社会、家庭、学校が変わらないから」「日本は『みんなと同じでないと...』というのが根本にあるので、いじめや自殺率の高さにつながっている」と自省する向きも見られた。
一方で、「学術会議の件は推薦が通らなかっただけ。推薦入試で落ちたらイジメになるんでしょうか?」「某ドラマに倣うのなら、過去に苛めたから倍返しされたんですよ」「学術会議が特権組織になり日本の教育をダメにしてきたのでは?」などと異論も多く寄せられている。日本が海外と違うという点にも反論があり、「海外では人種差別という形で日本なんか比にならないほど横行してんじゃないのか」「日本よりひどい人種差別や偏見、いじめもやはりあるので、島国根性的に言いきるのは違うかな...」といった意見があった。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)