政府が一部を任命しなかった日本学術会議について、一部の識者らが多額の税金を投入することを疑問視しているが、その余波で、日本学士院についても見直し論が出ている。
中には、学士院の母体が学術会議だとする根拠のない情報すら出ている。学士院とは、一体どんな組織なのだろうか。
フジ解説委員が「学術会議出身者は学士院で年金」と根拠ない指摘
「この人たち6年ここで働いたら、その後学士院というところに行って、年間250万円年金もらえるんですよ。死ぬまで。みなさんの税金から。だいたい。そういうルールになっているんですね」
フジテレビ上席解説委員の平井文夫氏は2020年10月5日、同局の情報番組「バイキングMORE」で学術会議についてこう指摘した。すると、出演者から一斉に驚きの声が上がった。
平井氏は、学術会議が一部の学者だけで人選をしているのは民主的ではないとして、民営化し会費制にしてから政策提言などをすればいいと番組で主張した。学士院との関係性については、その中で触れられたものだ。
この発言は、ツイッター上などで紹介されて拡散し、まとめサイトなども次々に取り上げた。国会議員の中にも、それを引用したかのようなツイートが一時見られた。
しかし、平井氏の発言については、識者らから疑問の声が次々に上がっている。
学術会議と学士院は、それぞれ内閣府、文科省と所管が違う。また、学士院は、学術上の功績が顕著な科学者を顕彰する組織で、設立の目的も異なっている。学術会議で任期を全うしたからといって、必ずしも学士院に進めるわけでなく、そもそも直接の関係はないのではないかということだ。