コロナ禍で「さよなら運転」なくなっても... スマホ構える沿線住民に見た「新しい鉄道の楽しみ方」

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   新型コロナウイルス一色となった感がある2020年もいよいよ10月に入った。世の中の景色は大きく変わったが、鉄道の楽しみ方も例外ではないように感じる。今回は筆者が、取材を通じて感じた鉄道の楽しみ方の変化について考えてみたい。

  • 6月2日にひっそりと引退した阪神武庫川線の赤胴車
    6月2日にひっそりと引退した阪神武庫川線の赤胴車
  • 6月3日にデビューした阪神武庫川線の新型車両
    6月3日にデビューした阪神武庫川線の新型車両
  • 6月2日にひっそりと引退した阪神武庫川線の赤胴車
  • 6月3日にデビューした阪神武庫川線の新型車両

イベントの中止・簡素化

   新型コロナウイルスにより様々なイベントが中止に追い込まれているが、鉄道業界も例外ではない。従来、当たり前のように行われていた「さよなら運転」に関するイベントは行われなくなり、新車のデビューに関するイベントも簡素化しているように感じる。

   たとえば阪神武庫川線(武庫川駅~武庫川団地前駅)を走っていた「赤胴車」と言われるツートンカラーの車両は何のイベントもなく、6月2日にひっそりと運行を終了した。翌日からは「タイガース号」などのユニークな新型車両が運行を開始したが、出発式は行われなかった。

   昨年までは一眼レフカメラを持った鉄道ファンがイベントに集まり、そこから新車・引退情報が拡散されていた。そのため拡散力が落ちるのではないかと心配した。

スマホで気軽に撮り、インスタにアップ

   嬉しいことに私の心配は杞憂に終わりそうだ。阪神武庫川線では多くの沿線住民がスマホで新型車両を撮り、男性だけでなく女性も熱心に写真撮影に励んでいた。試しにSNS「インスタグラム」や「ツイッター」で同線の新型車両を検索すると、同車の写真が数多くアップされていた。車外だけでなく車内の写真もあり、鉄道ファンとは異なる一般目線でのコメントもなかなか興味深かいものが多い。鉄道路線と沿線利用者が一体となっている様子が伝わり、見ている私も楽しくなった。

   鉄道関連のイベントが少なくなるのは確かにさみしい。その代わり、鉄道会社が発表する情報を基に沿線住民が手軽に鉄道を楽しむ姿を見ると、新しい鉄道の楽しみ方ができつつあるような気がする。今後も鉄道の楽しみ方に関して注意深く観察していきたい。

(フリーライター 新田浩之)

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