「新快速」関西走って半世紀 飛躍の秘訣は「座席」と「扉」にあり?

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   JR西日本の関西圏で運転されている「新快速」が、2020年10月で50周年を迎えた。

   現在は敦賀駅(福井県)から滋賀県、京都府、大阪府を経て、播州赤穂駅(兵庫県)・上郡駅(兵庫県)にいたる2府3県に運転区間を拡大し、JR西日本の看板列車に定着している。半世紀にわたって関西の鉄道に果たした功績は大きいが、その一つを「座席サービス」の視点からさぐってみた。

  • 半世紀でJR西日本の看板列車に成長した新快速(画像は223系)
    半世紀でJR西日本の看板列車に成長した新快速(画像は223系)
  • 221系以後「3扉・転換クロスシート」の車内が定着した(画像提供:PIXTA)
    221系以後「3扉・転換クロスシート」の車内が定着した(画像提供:PIXTA)
  • 半世紀でJR西日本の看板列車に成長した新快速(画像は223系)
  • 221系以後「3扉・転換クロスシート」の車内が定着した(画像提供:PIXTA)

「3扉・転換クロス」をスタンダードに

   1970年10月1日に登場当初の新快速は、京都~西明石間で運転された。同年開催の大阪万博のために関西に集められた113系電車を使用して、日中のみの運転だった。使用車両は国鉄民営化までに153系、117系と変わっていくが、この2形式は片側2扉で、通常普通列車に使われる片側3扉・4扉の電車に比べると乗降に時間がかかる。153系にいたってはもとは急行列車用の車両でデッキがついており、ラッシュ時の輸送には不向きだ。

   新快速の大躍進が始まるのはJR西日本の発足後である。1989年に登場した221系は片側3扉で転換クロスシートを採用、117系で初採用の転換クロスシートのままドア数を増やした。転換クロスシートはシートの向きを乗客が変えられる仕様で、153系までの固定クロスシートに比べて快適な車窓と乗り心地を提供した。

   乗客の収容力と快適な車内を両立させたことで、朝夕の通勤ラッシュにも本格的に対応できるようになった。国鉄時代は姫路~彦根間までだった運転区間は民営化後に米原・長浜・敦賀・播州赤穂と運転区間を拡大し、快速・普通列車が大半だった通勤時間帯にも新快速が進出ししていく。1970年の運行開始当初は京都~大阪間・大阪~三ノ宮間ノンストップで新大阪すら通過していた停車駅も徐々に増えていくが、所要時間は京阪間32分、阪神間25分(1970年)から2020年現在で京阪間29分、阪神間21分と短縮している。最高速度の引き上げと共に、3扉化でスムーズな乗降を実現できた効果もある。

   「3扉・転換クロスシート」の車内サービスは221系の後の223系・225系も受け継ぎ、JR西日本のスタンダードに定着した。以前は国鉄由来の4扉車両(103系・205系)と3扉車両(223系など)で運用が分かれていた阪和線では、新形式が増備されて3扉転換クロスシート車両に統一されたほどである。

   東海道線の名古屋エリアでも、JR東海が1989年に311系導入と同時に新快速の運行を開始した。以後後継の313系でも関西と同様の車両施策を行っている。首都圏を走るJR東日本の車両が片側4扉でロングシートもしくは固定型クロスシートを採用しているのとは対照的だ。JR発足以後、関西・東海と首都圏で車内の座席配置は分かれるようになった。

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