「推し、燃ゆ」。21歳作家の「アイドル炎上」小説で、ネットとメディアはこう描かれる【ネットメディア時評】

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テレビをニュースサイトで見る主人公

   この「炎上」描写の中で――というより、作品全体を通して、影が薄いのがテレビや雑誌などの紙メディアだ。

   炎上だから主戦場はネットだろ、と思うかもしれない。でも作中ではちゃんと(現実と同じように)テレビや雑誌も、この炎上を取り上げている。だが、主人公はそれを見ていないのだ

   さっきも書いたように、「炎上」の第一報を伝えたのはネットニュースだ。昼過ぎの第2報は、テレビ局による取材だろう。だが、主人公はそれをニュースサイトで見る。コメント欄にGood/BadボタンがあるのでYahoo!ニュースだ、たぶん(ガルちゃんじゃないと思う)。

   もちろん、推しが登場する番組はチェックしている。グループ解散・芸能界引退を発表する記者会見も、明記はされていないがテレビで見たようだ。だが、より重要なのが、推し自らの「インスタライブ」である。解散・引退にしても、そのインスタライブで「フライング発表」される。テレビの立場はない。

   紙メディアにいたっては、もっと扱いが軽い。週刊誌の(わかってない感の強い)スキャンダル記事を、主人公は立ち読みで済ませてしまうのである。それだけだ。

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