小さな「ガシャポン版AED」が大反響 メーカー監修で忠実再現...「勉強になる玩具」はこうして生まれた

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   誰もが使う可能性があるけれど、実物をちゃんと見たことはほとんどない。いざという時に混乱してしまうかも――。救命処置のための医療機器「AED(自動体外式除細動器)」に対し、多くの人が感じる不安ではないだろうか。そんなAEDを普及・啓発する商品がバンダイ(東京都台東区)から発売され、「勉強になる」とツイッターで話題を集めた。AEDを小さなフィギュアにし、カプセルトイの「ガシャポン」として売り出したのだ。

   手のひらサイズながら、各パーツは本物同様の再現度。それもそのはずで、国内唯一のAEDメーカー・日本光電工業(東京都新宿区)が監修し、細部のつくりまで徹底的にこだわった。両社に商品化の経緯を聞いた。

  • 「ガシャポン ミニチュアAED」のラインアップの1つと、そのフタを開けた状態 (C)2020 Nihon Kohden Corporation
    「ガシャポン ミニチュアAED」のラインアップの1つと、そのフタを開けた状態 (C)2020 Nihon Kohden Corporation
  • 商品はフタ2枚を開けられる (C)2020 Nihon Kohden Corporation
    商品はフタ2枚を開けられる (C)2020 Nihon Kohden Corporation
  • 他の商品ラインアップ (C)2020 Nihon Kohden Corporation
    他の商品ラインアップ (C)2020 Nihon Kohden Corporation
  • 「ガシャポン ミニチュアAED」のラインアップの1つと、そのフタを開けた状態 (C)2020 Nihon Kohden Corporation
  • 商品はフタ2枚を開けられる (C)2020 Nihon Kohden Corporation
  • 他の商品ラインアップ (C)2020 Nihon Kohden Corporation

「300円でめっちゃ勉強になる」「こどもに買い与えよう!」

   バンダイが開発したのは「ガシャポン ミニチュアAED」。日本光電の監修を受けたコラボ商品で、サイズは3~5センチの小ささながら「形状やパーツ構成を忠実に再現」(プレスリリースより)しているのが最大の特徴だ。フタは開閉式になっており、中に電極パッド、診断パネル、ショックボタン、成人・小児モード切換スイッチなどがしっかり収納されている。音声や液晶画面、実際の機能は備えておらず、あくまでカプセルトイとして楽しめる。

   ラインアップは普及率の高い3モデルとモバイルタイプの全4種で、価格は300円。発表は「救急の日」の9月9日に合わせた2020年9月8日で、順次発売されると21日ごろからツイッター上で話題を集め、称賛する声があがった。

「300円でめっちゃ勉強になる」
「こどもに買い与えよう!」
「これは後学のために欲しいね」
「これがきっかけでAEDの使用法が普及していけば...本当に素晴らしいアイデア」
「こういう切り口からAEDの使い方を普及しようというBANDAIさんと日本光電工業さんの心意気は斬新かつ素晴らしい」

   AEDは、痙攣(けいれん)して血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)の心臓に電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器。駅や空港、学校、ビルなどさまざまな施設に設置されている。AEDの使用は「時間との勝負」。日本光電が運営するウェブサイト「AEDライフ」では、「一分一秒でも早く電気ショックを行うことが重要です」としている。

   電気ショックが成功する可能性は1分ごとに7~10%低下する。日本では救急車が現場に到着するまで平均8.7分を要すが、8分経つと成功率は約20%まで下がることになる。そのため、「救急車が到着する前に傷病者の近くにいる私たち一般市民(バイスタンダー)がAEDを使用して電気ショックをできるだけ早く行うことが重要」(AEDライフより)。04年から医療従事者でなくても使用できるようになり、2018年中に一般市民が使用した事例は1254件あった。

   実際のAEDは音声ガイドで操作方法が説明され、機械が必要と判断した場合のみ電気ショックが流れる。深い知識がなくても使える設計だが、今回のミニチュアAEDに対するネット上の反応で目立ったのは「以前AEDを使おうとして取り出したとこで救急車来て使わなかった経験あるけど、取り出した所で出来るのか...とバクバクなりながらだった」といった、いざという時に使えるかどうか不安に思う声。ケースの中の構造まで把握している人は決して多くないだろう。

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