岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち バーの客も怒鳴り合う大統領選討論会の夜

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開始前から白人女性と黒人男性が口論

   ポールは「僕がおごるよ」とビールを注文してくれた。彼は現職のトランプ大統領を支持しているという。その後、彼は何度も「君も一緒にすわれてよかった。僕らの仲間だよ」と私に声をかけてくれた。

   彼の前にいた黒人男性ジョナサン(38)は、コンドミニアムのコンシェルジェとして働いている。

   「どっちが大統領になったって、黒人にとっては何も変わらない。システミック・レイシズム(systemic racism=制度化された人種差別)がなくなるわけじゃないから、僕は投票しない」と言う。

   2020年5月、民主党の大統領候補ジョー・バイデン氏が黒人のインタビューアーに対して、「もし私かトランプか迷っているとしたら、君は黒人じゃない("If you have a problem figuring out whether you're for me or Trump, then you ain't black.")と発言したことに、ジョナサンは腹を立てていた。

「黒人はみんなバイデンに投票しろ、って言うのか。黒人はみんな、同じなのか。おかしいだろ」

   20代の女性が言う。「私はトランプには絶対、再選してほしくない。プッシー(女性器の卑語)がどうのこうのなんて言うやつ。女として腹立たしいわ」

「君は白人女性だ。黒人男性の僕より、ずっと恵まれてるさ」
「女性だって同じように、虐げられているわ」
「君は僕じゃないんだ。わかったような口をきくな」

   こうして、2人の間で激しい口論が始まった。

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