科学者が政策提言を行う国の特別機関「日本学術会議」の新会員として推薦された学者6人を、菅義偉首相が任命をしなかった問題をめぐり、政治家の間でも様々な意見が出ている。
2009年の民主党による政権交代時に首相を務めた鳩山由紀夫氏、同党幹事長だった小沢一郎氏の事務所はツイッターで菅首相の対応を批判。一方で、元東京都知事の舛添要一氏は学術会議自体を「税金の無駄遣い」と批判する持論を示した。
「この国の行く末はかなりの暗黒である」
日本学術会議は会員210人で構成される。会員の任期は6年で、3年ごとに半数が代わる仕組みだ。政府は2020年10月1日付で日本学術会議の新会員として99人を任命した。しかし、会議側が推薦したのは105人。任命されなかった6人は安保法制や共謀罪法などで政府姿勢に反対の立場を取っていた学者だ。学術会議の新会員に任命されないケースが出たのは初だとされる。
かつて民主党政権で首相を務めた鳩山氏は、2日に自身のツイッターで、
「菅総理、これだけはやってはいけませんでしたね。学術会議の会員は総理に任命権があるにしても、それは形式的なことと中曽根元総理も話された通り、政権が学問の自由、言論の自由、思想の自由を奪ってはならないと憲法に書いてあり、こちらが優先することは明白です。よほど自信がないのでしょうか」
と菅首相の対応を批判した。
菅氏は2日、首相官邸で6人を除外した理由を記者から問われると「法に基づいて適切に対応した結果」とだけ答え、官邸を後にした。この対応について、鳩山政権下で民主党幹事長を務めた小沢氏の事務所公式ツイッターは、
「ぶら下がりすらせず、記者の質問から逃げる総理。どうしようもない。自分の決断すら説明できない。そもそも自分がやらかしたことではないか。6人が気に入らないから排除したとなぜ言わないのか。簡単なことではないか」
と批判。さらに「こんな人物に7割の支持を与えるなら、もうこの国の行く末はかなりの暗黒である」と危機感をあらわにした。