孫正義会長兼社長が率いるソフトバンクグループ(SBG)が、法人や自治体を対象に新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査を行うことになった。
当面、個人からの依頼は受け付けないが、自分で唾液を専用の容器に入れ、指定の配送業者を使って検査機関に送れば、最短2時間で結果がわかるという。費用は1検体あたり2000円(税・配送料など除く)。
「利益が出た場合は医療機関などへ寄付」
携帯電話への参入で後発だったソフトバンクは、NTTドコモなど大手に対抗し、料金値下げや新サービスでシェア拡大を図った歴史がある。孫氏はかねてからPCR検査の普及に積極的で、今回は自己負担が高額なため、不満が多かったPCR検査の世界でも価格破壊を起こした格好だ。
もちろん、今回の検査はビジネスではなく、孫氏発案の社会貢献と位置付けられている。孫氏は「利益を目的にしていない。安心して経済を再稼働していくためにも安価で簡単な検査は有益だ」などと、会見で述べており、SBGは「仮に利益が出た場合は医療機関などへ寄付などをしていく」と説明している。
SBGはこれまで東京都新宿区の国立国際医療研究センターにある研究施設内で、唾液PCR検査を試験的に実施していた。今回、SBGは子会社の「新型コロナウイルス検査センター株式会社」の下に唾液のPCR検査を行う「東京PCR検査センター」を設け、本格稼働させた。
新設した東京PCR検査センターは、国立国際医療研究センターの指導のもと、衛生検査所として正式に認可された検査施設だ。
SBGによると、同センターでは1日に約4000件の検査が可能で、唾液検体到着後、最短2時間で結果を出すことができる。「今後さらに検査能力を高め、今秋中に1日1万件のPCR検査ができる体制構築を目指す」という。