「集金力」と「集票力」で閣僚選んだ? 伸びぬ個人献金の課題も
政治資金規正法は、かつての「ゼネコン汚職」など政治とカネをめぐる不祥事が相次いだことを受けて、特に汚職の温床とされた企業・団体献金について規制が強くなった。企業・団体献金の代わりとして、「国民1人当たり250円、コーヒー1杯分の負担で政治がよくなる」という理屈で政党交付金の制度が1995年に始まったが、企業・団体献金は廃止されず残った。そして匿名性が高い政治資金パーティーについてはその存在感・依存度が強くなっている。今回、閣僚の政治資金からもそれが明らかになった形だ。
「民主主義のコストは、国民一人一人が負担するべき」という理念から、欧米の政治家のように個人献金を中心とした政治の実現を求める声も多いが、実際は個人献金の広がりは鈍い。
菅内閣の閣僚21人について見ると、個人献金の割合は全体のわずか7%の計約1466万円に過ぎない。政治資金収入に占める個人献金の割合が比較的多いのは井上信治・万博担当相で31%、河野太郎・行革担当相が20%だった一方、15人は10%以下だった。
一方、菅内閣の閣僚の政治資金からは、21人の他の国会議員に比べた「集金力」の強さも浮かび上がった。
読売新聞など報道各社が2017年12月に報じた記事によれば、16年の国会議員の収入総額は約303億円。1人あたりに換算すると単純計算で約4251万円。一方、菅内閣の閣僚は平均で約9590万円だ。自民党関係者は、
「菅内閣の閣僚は再任、再登板など15人は閣僚経験があるなど実績面が注目されていますが、強い選挙地盤と安定した資金力も特長です。選挙に強く、資金的にも余裕があれば、それだけ閣僚の職務に専念できますし、支持率に影響するため菅首相が嫌うスキャンダルも起きにくくなるわけです」
と明かす。実際、21人のうち参院比例区代表の橋本聖子・五輪担当相以外は全員が直近の選挙でトップ当選のうえ、17人は2位の候補者より20ポイント以上高い得票率だった。得票率78%だった小泉進次郎・環境相や73%だった岸信夫・防衛相など、「圧勝」した政治家が目立つ。
「集金力」と「集票力」も、菅内閣の閣僚の特色ということのようだ。