プロ野球のセ・リーグは巨人がリーグ連覇に向けて独走している。2020年10月1日時点で2位阪神に12.5ゲーム差を付け優勝マジックを「21」とする。
今シーズンはクライマックスシリーズ(CS)がないため2位以下のチームに秋風が吹き始めている。巨人の独走を許した5球団の指揮官の今シーズンの采配はどうだったか。そして今オフの進退は...。今シーズンの戦いぶりを振り返ってみる。
阪神貯金「3」も巨人とのゲーム差が...
首位巨人を除いて唯一貯金生活を送るのが、就任2年目となる矢野燿大監督(51)率いる阪神だ。今シーズンは巨人との開幕3連戦で3連敗を喫するなどスタートダッシュに失敗したものの、7月、8月と徐々に順位を上げていった。低調だった開幕当初の状態からいえば、リーグ2位の貯金「3」は健闘しているといえる。ただ首位巨人とのゲーム差を考慮すると評価が分かれるところだろう。
今シーズンの阪神は失策がリーグワーストで、失策からの失点で試合を落とすケースもあった。昨シーズンも失策はリーグワーストで、守備力が大きな課題となっていたが、今シーズンのここまでを見る限り克服できておらず、引き続き来シーズンの課題となる。矢野監督就任1年目の昨シーズンは、前年の最下位からチームを立て直しAクラス(3位)入り。2年目の今シーズンもAクラス圏内に付けており立場は安泰か。
開幕前の評判が高かったDeNAは首位巨人に大きく水をあけられている。就任5年目となるアレックス・ラミレス監督(45)にリーグ優勝の期待がかかっていたが、新外国人タイラー・オースティン(29)の負傷やエース今永昇太(27)、平良拳太郎(25)の戦線離脱などもあり、上昇気流に乗り切れなかった。昨シーズンまで守護神を務めてきた山崎康晃(28)の不調も想定外だっただろう。
与田監督はヤクルト戦の采配ミスが大きな話題に
ラミレス監督に関しては、采配がたびたびネット上で議論されるがシーズン成績を見ると安定した結果を残している。チームを指揮した4年間でBクラスは2018年(4位)の一度だけ。今シーズンAクラスを確保すれば5年間で4度のAクラスとなる。その一方でCSのない今シーズンのAクラスがどれほどの評価に値するかは難しいところだ。リーグ優勝が厳しい状況にあるなか、来季続投にはAクラス入りが絶対条件になりそうだ。
就任2年目となる与田剛監督(54)率いる中日はAクラス入りをかけてラストスパートに入っている。チームはここにきて状態が上がってきているものの、序盤のブレーキが大きく響いている。指揮官の采配面では、野手を使い切ったため延長戦の好機に投手を代打に起用した7月7日のヤクルト戦が大きな話題に。7年連続でBクラスに低迷しているチームをAクラスに導けば来季続投濃厚か。
ともに監督就任1年目のヤクルト高津臣吾監督(51)、広島・佐々岡真司監督(53)にとって今シーズンは厳しいものになりそうだ。ヤクルトは7月に2位に浮上し首位巨人に迫ったが、8月に入って失速。ここまでチーム防御率はリーグワーストの4.60と投手陣に安定を欠いている。一方の広島はリーグ3連覇時の強さは見られず、10月1日時点でリーグ最下位に沈んでいる。高津、佐々岡両監督共に残り少ない試合の中で意地を見せたいところだ。