フリーアナウンサーの小林麻耶さんが2020年10月1日、出演した「グッとラック!」(TBS系)で、インターネット上などでの誹謗中傷問題について「自分がつらい時にそれを読んだら、人の気持ちを本当に死にたいなと思ってしまうほどに追い詰めることができる」と涙ながらに撲滅を訴えた。
小林さん自身、実妹の小林麻央さんを17年6月に乳がんで亡くし、麻央さんの闘病中から降りかかった自身への誹謗中傷に苦しんだ。当時の実体験を重ね合わせると声を震わせ、「みんなでポジティブな言葉を広めていきたい」と呼びかけた。
「まだ乳がんにならないのか」
番組では、実業家の堀江貴文さんが広島県内の飲食店を訪れた際、マスク着用をめぐってトラブルになった問題を取り上げた。堀江さんがフェイスブックで主張を書き込むと、飲食店もブログで反論。その結果、双方にSNSなどで誹謗中傷の言葉が浴びせられる問題に発展した。店主は番組の取材に、罵倒や無言の電話が1日40件かかってくることを明かし、「外へ家族が歩いていくのも怖い」と語っている。
スタジオコメンテーターの小林さんは「私のところにも(誹謗中傷が)よく来ます」とし、「誹謗中傷で亡くなられた方がいて、『死ねとかは言っちゃいけない、本当に良くない』と言われているにもかかわらず、そういうニュースの後にも私のところに『まだ生きてるのか』『まだ乳がんにならないのか』とか、言葉を変えて表現してくる。本当にいけないことだと思います」と自身にも心無い言葉が来ることを明かした。
MCの落語家・立川志らくさんは「いくら言っても連中には心がないから分からない」と述べたが、小林さんは「分からないって諦めないで、本当に師匠、お願いしますよ。絶対に言っちゃいけないんですよ」と語気を強めてもう一度訴えた。自身も心無い言葉がよく送られてくるという志らくさんは「言っちゃいけないですよ。でもある程度のパーセンテージ、1%2%はいるんですよ」と諭すように述べている。
それでも小林さんは再度、誹謗中傷をこう強く断罪した。話しながら、途中から声を震わせた。
「今回はホリエモンさんの影響力が大きいから、他の方々が動いてこういうコメントをしたかもしれませんけど、1人1人がSNSで大きな力を持ってることを分かってほしいし、亭主の方、ご家族の方、お子さんが本当に苦しい思いをして、病んでしまうかもしれない。どうなってしまうかも分からないんですよ。1人1人の言葉ってすごく大切なので、命を本当に大切にしてほしいと思います」
「いま私は、妹が亡くなって3年が経って」
そうした中、スタジオの高橋知典弁護士は「応援」と「中傷」の比率が違うことを分析。「応援のメッセージは来ないんです。大概、誹謗中傷が起きる時に応援する人はいます。『この状況でも負けないでほしい』『続けてほしい』『死なないでほしい』と思っている人は、意外とメッセージを送らない。そうではない、『死ね』とか言う人は簡単にメッセージを送ってきて、応援のメッセージは届かない。だから、有名人は周りが悲しい言葉であふれていて、全然良い声が聞こえてこないんです」と述べたうえで、対策としてこう提案した。
「心ある人に声かけすれば、このお店も含めてSNSで苦しんでいる人がいたら、率先して『応援している』というメッセージを送ってあげてほしい。それだけで『世の中には自分の味方もいるんだ』と伝わります。法改正ももちろん進めていますが、その間に、せめて心ある人にはそういう協力もしてほしいなと思います」
隣に座っていた小林さんは何度も大きく頷いた。手で一度顔を覆った後、前を向くと、涙ながらに自身の経験を重ね合わせて訴えかけた。
「ものを見るタイミングや心の状況までは想像できないんですよね。だから、本当にお願いだから、それで人の命を奪ってしまうかもしれないし、いま私は、妹が亡くなって3年が経って、『死ね』と言われても、『まだ生きてるの?』と言われても、でも頑張って生きようと、生きる努力をしようと思えるようになったんですけど、妹が亡くなった直後にそういう言葉を浴びせられた時、自分がつらい時にそれを読んだ時...人の気持ちを、本当に『死にたいな』と思ってしまうほどに追い詰めることができるんです。たった1人の言葉で」
そして「だから本当にやめてほしいし、いま(高橋)先生が素晴らしいことを仰ってくださったように、応援してくださる言葉は本当に力になるので、みんなでポジティブな言葉を広めていきたいなと思いました」と呼びかけていた。
小林さんの涙の訴えに、ツイッター上では「泣きそうになった 人柄が良いなぁ」「麻耶ちゃんのコメントに涙が出た」「小林麻耶さんの言葉届いている人いっぱいいますよ! 涙でちゃった。応援してます。誹謗中傷だめ!」「自分がされていやなことは絶対しちゃいけない」といった共感の声が相次いだ。