出産後の女性にありうる「産後うつ」への関心が、ネット上で高まっている。
出産後1年未満に死亡した女性の死因は、自殺が最も多いという。なぜ発症するのかなどを精神科医に聞いた。
出産経験者からのツイートも
女優の竹内結子さん(40)が2020年9月27日に自宅で自殺したとみられると報じられると、1月に第2子の男の子を産んだばかりだっただけに、きっかけを巡って様々な憶測も流れた。ツイッター上では、「産後うつ」ではないかとの指摘も相次いでいる。
出産を経験した女性からは、「何でもないことで涙が出たりした」「唐突に死にたくなった」などと、産後うつのような症状についての報告も次々に寄せられている。
国立成育医療研究センターがサイト上で行った2018年9月5日の発表によると、出産後1年未満に死亡した女性は、15~16年の2年間で、自殺が92人と最も多かった。35歳以上や初産の女性などで自殺率が高かったという。原因としては、産後うつの悪化などの可能性があるとみられている。
産後うつは、一体何がきっかけで発症するのだろうか。
つきじ心のクリニック(東京都中央区)の榊原聡院長は9月28日、J-CASTニュースの取材にこう話した。
「ホルモンバランスが乱れ、社会的・心理的ストレスで発症」
「女性の場合、妊娠期間中はホルモンの出方がいつもと違います。出産後に、それが元の通常モードに戻るとき、ホルモンのバランスが乱れてしまいます。さらに、育児が大変でもサポートが得られずに社会的・心理的にストレスがかかると、産後うつの症状が見られるようになります」
産後うつは、うつ病とは違うというが、以前にうつ病にかかった人はなりやすいかもしれないとした。
年齢的には、40歳前後がホルモンバランスを崩しやすいという。初産の人の方がなりやすいが、出産の間隔が空くと、若いときと体力が違うこともあって注意が必要だそうだ。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、産後うつの患者が少し増えたとも言う。
「通勤や外出をしなくなると、気分が沈み、運動不足にもなります。体を動かさないと、ぐっすり眠ることもできません。赤ちゃんが夜に起きて、睡眠が分断されると、寝不足になってしまいます。旅行ができなくなったり、親に会いにくくなったり、ストレスがうまく解消できなことも背景にありますね」
榊原聡院長は、飲酒には特に注意が必要だと指摘する。アルコールの影響で衝動的になって、自殺のリスクが増すためだ。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)