プロ野球パ・リーグの優勝争いが白熱している。2020年9月28日時点で首位ソフトバンクと2位ロッテのゲーム差はわずか「1」。巨人が独走するセ・リーグとは対照的に激しい首位争いが展開されている。今シーズンのパ・リーグを制すのはソフトバンクかロッテか、それとも楽天か。J-CASTニュース編集部は、楽天の元ヘッドコーチで巨人、西武などでコーチを務めた橋上秀樹氏(54)にパ・リーグ終盤戦を占ってもらった。
「実際は1ゲーム差でロッテが2位につけているが...」
パ・リーグ首位を走るソフトバンクは9月25日から2位ロッテを迎えてZOZOマリンスタジアムで3連戦を行った。ソフトバンクは初戦を落とし、第2戦を取り返し五分としたが第3戦は4-8で敗れた。ロッテとの直接対決を1勝2敗で負け越し、ロッテに1ゲーム差まで詰め寄られた。
ソフトバンク、ロッテともに残り34試合と終盤戦を迎えている。両チームの戦力、勢い、采配などペナントレースを左右する要因はいくつかあるが、橋上氏は「一番注目すべきは、ソフトバンクとロッテの直接対決が他のカードに比べて多く残っているという点」と指摘する。
「ソフトバンクとロッテは他のカードよりワンカード分遅れている。今シーズンのソフトバンクのロッテとの対戦成績(4勝10敗1分)を見ても分かる通り、ロッテとの相性が良くない。これに加えて西武との試合も比較的多く残っている。西武には勝ち越しているとはいえ、ほぼ五分の成績。残り34試合のうち3分の2近くを相性の良くないチームと対戦しなければならない。これらを考慮すれば、実際は1ゲーム差でロッテが2位につけているが、ロッテの方が優位といえるでしょう」(橋上氏)
「これだけ貯金が作れるのは接戦に強い証拠」
ここまでソフトバンクはチーム防御率リーグトップの3.20を誇り、チームの失点はリーグ最少の「306」を記録。一方のロッテのチーム防御率はリーグ4位で、チーム打率にいたってはリーグワーストである。橋上氏は今シーズンのロッテの強さについて「私自身、明確な答えが出ていない」としながらも次のように分析した。
「チーム打率はリーグワーストで得点もそれほど取れているわけではない。防御率は若干上がってはきましたが、この状況でこれほどの貯金を作って2位にいるというのはなぜか。井口監督の采配もあるでしょうが、この得点と失点の差でこれだけ貯金が作れるのは、接戦に強い証拠。チーム全体の防御率を見ると良くないが、勝ちパターンの投手、接戦の時に起用する投手に関してはある程度の数字を残していると思う。この数字で貯金が出来るのはよほどのことです」(橋上氏)
また橋上氏はソフトバンクとロッテ両チームの心理的な側面を分析。精神状態からいえばロッテがより余裕を持って戦いに挑めると指摘した。
「ソフトバンクはロッテに苦手意識があるはず」
「ロッテはソフトバンクの弱点、特性をつかんでいるのかもしれません。逆にソフトバンクは、つかまれていないのにつかまれているのではと疑心暗鬼になっている可能性もあるでしょう。そこに戦いづらさというものが加わり、こういう数字になっているのかもしれない。ソフトバンクはロッテに苦手意識があるはず。残り試合、ロッテのベンチワークの冴え、いまはまっている作戦、起用法を継続できればロッテのほうが優位ですし、精神状態を考えるとロッテのほうが余裕を持って戦える」(橋上氏)
パ・リーグはソフトバンク、ロッテの2強に対して、チーム打率リーグトップの楽天が3位につけている。2位ロッテに4.5ゲーム、首位ソフトバンクを5.5ゲーム差で追いかけている。
「楽天は期待していた投手が期待通りに活躍できていないというのが正直なところ。本来ならばこれほどチーム防御率が悪いチームではない。則本投手、松井投手、岸投手の3投手が物足りない数字となっている。この3投手で多くの貯金が作れないのが、今の楽天の苦しい現状。この3人がもっと貯金を作らないとチームも上を目指せない」(橋上氏)