新型コロナで「台湾側の需要調査で支障」でも「台湾側の関心も高い」
与那国町は05年と06年に、台湾と小型貨物船などが自由に往来できる「国境交流特区」を申請し、却下されている。だが、その後も町としては台湾との交流を掲げ続けている。11年の「第4次与那国町総合計画」で「八重山地域と台湾を結ぶ高速船運航実現を推進」することをうたい、16年の「与那国町人口ビジョン及び総合戦略策定等報告書」では、「将来像」のひとつとして
「県外だけでなく、台湾や中国,東南アジアなど世界の国々と自由に往来する『交流の島』」
を挙げている。
20年7月には、内閣府の20年度「沖縄振興特別交付金」の一環として与那国町が提案していた「国境交流結節点化推進事業」に1200万円の交付が決まった。これをもとに調査を委託する事業者を公募し、8月31日付けで建設コンサル大手「長大」(本社・東京都中央区)の沖縄支店と契約。今後、必要な調査を本格化させる。
具体的には、(1)運航許可に必要な手順の整理(2)需要の調査(3)町内にある2つの港には税関・出入国審査・検疫(CIQ)の体制がないため、申請のための具体的手順を整理(4)使用する高速船に求められる条件を整理、といった作業を進める。
与那国町の企画財政課では、新型コロナウイルスの影響で台湾への渡航が難しく「台湾側の需要調査で支障が出ている」とする一方で、「台湾側の関心も高い」として、引き続き21年度の実証実験としての運航開始を目指している。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)