国勢調査員が「インターネット回答」を勧める理由 「紙」でもできるけど...実際どう違う?

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「ネット」36.9%、紙の「郵送」34.1%、それ以外29.0%

   ネット回答の導入・推奨により、調査員の負担が減るのは間違いなさそうだ。現状、配布時には訪問する必要があるものの、回収がなければ単純に訪問回数が減る。訪問先で怒鳴られたり怪しまれたりするという報告もネット上の調査員というユーザーからあがっているが、そのようなトラブルも減りそうだ。

   ただ、ネット回答は前々回10年調査で東京都のみ導入、前回15年調査で初めて全国導入されたばかりで、普及はまだ十分とは言えない。総務省の担当者によると、前回の回答方法の比率は「ネット」が36.9%、紙の「郵送」が34.1%、残り29.0%がそれ以外だった。

   「それ以外」の中には、「回収」だけでなく「聞き取り調査」も含まれる。国勢調査は原則本人に回答義務があるが、聞き取り調査はやむを得ず本人が回答できない場合に行うもの。同担当者によると、国勢調査令にもとづいた方法で、周辺住民から氏名や家族構成(世帯における男女の人数)といった限られた項目のみを聞き取る。本人が調査期間中たまたま海外に出ていたり、船舶関係の仕事で長く自宅を不在にしていたりする場合などに用いることが多い。

   この聞き取り調査を行うのも国勢調査員の仕事。つまり紙の「回収」の場合と合わせ、先述した「それ以外」の29.0%の回答方法では、調査員が対応する必要が出てくることになる。同担当者によると、回収については「1度の訪問で不在だった場合、日時を指定して再度回収に行くよう我々から調査員に指示を出しています」といい、何度訪問しても回収できなかった場合、聞き取り調査に切り替える。集団の一部を対象に調べる「標本調査」とは異なり、集団すべてから回答を得る「全数調査」をとる国勢調査にとって、必要な手順という。

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