岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち 「警察は敵だ!」黒人女性殺され、怒る群衆たち

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射殺した警官の罪は「隣人への危険行為」

   冒頭の事件について、簡単に触れよう。ケンタッキー州ルイビルで2020年3月13日午前0時半頃、麻薬事件の容疑者の出入り先だとして、私服警官が捜査令状を得て、テイラーさんが恋人と就寝中の自宅アパートに踏み込んだことに端を発している。警察側は踏み込む前にドアを何度もノックし警告したと主張。恋人も「ノックは聞こえた」と証言している。

   警官はドアの外で叫び、身分を名乗ったと主張しているが、恋人は不審者が侵入したと思ったようだ。警官がドアを突き破って突入すると、恋人は暗がりのなか、合法的に所持していた銃で警官に1発、発砲。これを受けて警官が乱射し、テイラーさんを殺害した。

   恋人はすぐに泣きながら警察に通報、「不審者がアパートに押し入り、彼女が撃たれた」と助けを求めている。

   元警官で、この事件のブレット・ハンキソン容疑者は、6月に免職処分になっている。ルイビル市は9月15日、市を提訴していた遺族に1200万ドル(約13億円)を支払い、市警改革を進めることで和解している。

   その夜、麻薬事件の容疑者は別の場所で逮捕されたが、情報が共有されておらず、テイラーさん宅の捜査は必要なかった可能性がある。容疑者は以前、テイラーさんとつき合っていた。事件の詳細は、未だに明らかにされていない部分が多い。

   この事件で、大陪審は9月23日、ハンキソン容疑者の銃弾が隣家にまで達したことから、隣人への危険行為の罪で起訴した。しかし、殺人罪には問わず、さらに現場にいた別の警官2人を「正当防衛」と認めて起訴しなかったことで、全米各地で「警官による黒人への暴力」に対する抗議デモに再び火がついたのだ。

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