毎月7万円の「所得制限付きベーシックインカム」 竹中平蔵氏の持論が波紋

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   元総務相でパソナグループ会長の竹中平蔵東洋大学教授が「毎月7万円のベーシックインカム」をBS-TBS番組「報道1930」で唱え、ネット上で論議になっている。

   「ベーシックインカムを導入することで生活保護が不要になり、年金も要らなくなる。それらを財源に」。2020年9月23日夜放送の同番組では、こんな竹中氏の発言が大きなパネルで紹介された。

  • 月7万円でも生活できる?(写真はイメージ)
    月7万円でも生活できる?(写真はイメージ)
  • 月7万円でも生活できる?(写真はイメージ)

社会保障が要らないかについて、「基本的にはそう」と認める

   この発言は、エコノミスト・オンラインの7月13日付インタビュー記事「ベーシックインカム導入は『ショックドクトリン』でやるべき」で竹中氏から出たものだ。

   パネルでは、竹中氏が「所得制限付きのベーシックインカム」を提案しているとして、「国民全員に毎月7万円支給」「所得が一定以上の人はあとで返す」「マイナンバーと銀行口座をひも付け所得を把握」とその内容を箇条書きにした。

   ショックドクトリンとは、記事によると、既得権益を守ろうとする人たちが必ず出てくるため、社会主義国が資本主義にショック療法で移行したときのように、一気にやることを指すそうだ。

   番組では、竹中氏は、社会保障が要らないという話にならないかと問われ、こう説明した。

「基本的にはそうで、ちょっとこれね、生活保護が全部不要になるとは言いませんけど、それで制度設計を作ることができます」
「このベーシックインカムというのは、『究極の税と社会保障の一体改革』なんです。これは社会保障でもあるし、負の所得税だから税制でもあるし、そういうことをやることによって、実は非常に公平な形なんですね」

   竹中氏は、世界全体が不安定な中で、ベーシックインカムを「究極のセーフティネット」として、「若い人には挑戦をしてもらいたい」と訴えた。

「単なる社会保障の削減案」などと批判が

   ベーシックインカムについては、スイスでは4年前に大論争になって国民投票が行われたが、月々の支給が高すぎて大変な財政負担になることや働かなくなることの懸念などから否決されたことがある。竹中氏は番組でこのことに触れながらも、「5年、10年経つと世界の多くの国でこれを議論していると思います」との見通しを示した。

   今回提案しているベーシックインカムは、1人7万円のため、4人家族なら28万円支給される。竹中氏は、高所得者の負担を重くする累進課税については、「残したらいい」とも番組で話していた。

   竹中氏の発言内容がツイッター上で紹介されると、その是非を巡って様々な声が噴出した。

   疑問や批判の声は多く、まず月7万円という金額に異論が相次いだ。「毎月7万円でどうして生活保護不要になるんだろ」「年金月7万にする気まんまんなのね。社会は確実に崩壊するよ」などと書き込まれている。

   また、結果として、支給が国民年金レベルになり、生活保護の引き下げにつながるのではないかとして、「単なる社会保障の削減案に過ぎない」「あとは自助で頑張れとするもの」との声も出た。

「生活保護の不正受給が無くなるならいい」との声も

   竹中氏は、郵政民営化などを進めた小泉純一郎内閣で総務相を務め、構造改革という名の規制緩和を進めた結果、非正規雇用が増えて格差社会を招いたと指摘する向きも多い。菅義偉首相は、当時副大臣として竹中氏の下で働き、菅首相は9月18日に竹中氏と懇談し、規制改革などのアドバイスを受けたとも見られていることから、「とりあえず竹中平蔵にアドバルーンを上げさせ様子をみているのかも」との見方もあった。

   さらに、国民一律に支給されるのがベーシックインカムと報じられることが多いため、所得制限付きの提案に対し、「それ、ベーシックインカムじゃないでしょ?」との疑問も上がった。累進課税制度なら高所得者の負担が増えるので、所得制限はいらないのではとの指摘も出ている。

   もっとも、竹中氏を擁護する声もあり、「生活保護の不正受給が無くなるならいい」「既存の社会保障を置き換えるもの」「足りない人は働けばいいし、お金ない人はパートナー見つけた方がいいから少子化対策になる」といった意見も寄せられている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

姉妹サイト