番組内のグラフに「印象操作」 SNS物議で福島テレビが謝罪「体制の不備でした」

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   福島テレビ(FTV)は2020年9月21日、同局の番組内で新型コロナウイルスに関する調査結果を紹介した際、誤解を招くグラフを使用したとして謝罪した。

   FTVはJ-CASTニュースの取材に、制作過程に不備があったとし、再発防止に努めるとした。

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  • テレビ福島の報告文
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横棒グラフの不適切な目盛り

   グラフは、9月17日放送のニュース番組「テレポートプラス」で用いられた。

   番組では、三浦麻子・大阪大教授や平石界・慶應義塾大准教授らの研究グループが今年3月~4月にかけて、日本、アメリカ、イギリス、中国、イタリアの5か国を対象にした新型コロナの意識調査を、フリップで取り上げた。

   フリップでは、「新型コロナウイルスに感染した人がいたとしたら、それは本人のせいだと思う」との項目への各国の回答結果を横棒グラフで示し、日本は「そう思う」(「非常にそう思う」「ややそう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計)が15.25%と、「欧米の3~4倍」との吹き出しをつけた。一方、そう思わない(「まったくそう思わない」「あまりそう思わない」「どちらかといえばそう思わない」の合計)は84.75%だった。

   しかし、グラフの目盛りは80%~100%の間のみ示し、棒の面積の大半を占める「そう思う」が多数派だと錯覚しやすい見た目になっていた。

「誤った印象を持たせてしまった」

   放送後、ツイッター上では「詐欺グラフ」などの文言とともにフリップのキャプチャーが広められ、リツイート(拡散)数は5万を超えた。「印象操作だ」などと酷評が相次いだ。

   研究グループの平石氏も「確かに国間で比べると日本で『そう思う』が多いのは事実だが、国内では少数派であることも事実で、一方だけを強調するのはミスリードも甚だしい」とツイッターで苦言を呈した。

   FTVの関連ツイッターアカウントは21日、「ご報告とお詫び」と題した声明文を投稿し、当該グラフで「誤った印象を持たせてしまった」と謝罪。

   具体的には、「放送したグラフは0%ではなく80%から始まっていて、日本では『思う』と回答した人が大半を占めているように見える表現となっていました」と落ち度を説明し、「日本で『新型コロナの感染は本人のせいだと思う』と回答した人は15.25%。全体で見ると少数派ですが他国と比較すると多い結果で、これを踏まえたうえで『誰でも新型コロナに感染する可能性がある』こと。そして『感染した人が悪い訳では無い』とお伝えしようとしていました」と本来の意図を明かした。

   声明文には、番組で紹介したフリップとともに、0%が起点となった修正版を掲載した。

グラフの起点は当初、0%だった

   FTV編成部は23日、J-CASTニュースの取材に、SNS上での指摘を受けて事態を把握し、社内での調査を踏まえて今回の対応にいたったという。22日放送の「テレポートプラス」でも、事情を説明した上で修正したグラフを提示した。

   編成部によれば、グラフは、福島県白河市が新型コロナの感染者らへの差別や誹謗(ひぼう)中傷をなくそうと制定を目指す「思いやり条例」を報じた際に、背景の説明として用いた。

「こうした研究があり、欧米では本人のせいだと思う人が少ないものの、日本では本人のせいでしょ、と思う人が3倍から4倍多いと。日本で誹謗中傷が問題になるというのは、国民性やお国柄の違いもあるけれど、それは決して許されることではないし、コロナに感染するのは誰のせいでもないし、誰でもかかる可能性があるので誹謗中傷は許されることではありませんよね、というのが放送内での表現でした」(編成部)

   グラフの起点は当初、0%になっていたが、制作過程で抜け落ちてしまった。「気がつかなかったのは我々の体制の不備でした」と振り返る。

   今回の事例は社内で共有し、再発防止に努めるという。「わたくしたちも初めてのツイッターでの炎上でしたので、今の時代はテレビの外でもこうしたリスクがあると今回の件で十分に認識いたしました。そうした点にも配慮しながら今後放送していきたいと考えています」

   一連の対応に、研究グループの三浦氏は「『感染者を責めず、温かいサポートを』という思いは、私たちも同じです。きちんと視聴者に対応されたことに敬意を表するとともに、今後の誤解のない報道を強く希望します」、平石氏は「誰にだってミスはありますが、他方で、ミスを公に認めるのは簡単なことではありません。関係各位の誠実さに感謝と敬意を表します」などとそれぞれツイートしている。

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