新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、企業倒産が広がっている。帝国データバンクによれば、2020年8月末で累計500件を超え、9月に入ってからもじわじわ増えている。「今後、業績にマイナスの影響がある」と懸念している企業は多く、倒産数の増加など年末に向けて厳しい状況が続く可能性は大きい。
帝国データバンクのまとめでは、9月15日現在で、今年になってから広がった新型コロナウイルスに関連する倒産は累計で527件。業種別では「飲食店」が最も多く76件、次いで「ホテル・旅館」が54件、「アパレル・雑貨小売店」が36件と続いた。
「既にマイナスの影響がある」68.0%
負債額の大きさで見ると、旅行代理店ホワイト・ベアーファミリー(負債額278億円、大阪市)が最も大きく、次いでホテル運営のWBFホテル&リゾーツ(160億円、同市)だった。感染拡大防止のため、事実上の国境封鎖となり、外国人観光客(インバウンド)の需要が見込めなくなっているほか、日本人の外出自粛が続き、旅行業をはじめとしたサービス業全体を追い詰めている状況がわかる。
同じ帝国データバンクが8月に全国の約2万4000社を対象に実施した意識調査(有効回答率は50.7%)によれば、新型コロナウイルスが自社の業績に及ぼす影響について、「既にマイナスの影響がある」との回答は68.0%。「今後マイナスの影響がある」は14.4%で、回答をした企業の8割以上が「マイナスの影響がある」と答えた。感染拡大の懸念は消えず、業績の早期回復は見込めそうにないといえる。
企業の厳しい経営状況は雇用状況や賃金などにも影響を及ぼしている。厚生労働省が全国のハローワークの情報を集計した調査結果によれば、新型コロナウイルスの影響で解雇・雇い止めになった人は8月末現在で5万326人に上った。やはり飲食業や旅行業が多い。