どうなる「地銀再編」
今回、菅氏が「地銀再編」を主張したのを、こうした経緯と関連付けてみる向きもある。9月2日の会見で、日銀の異次元緩和の副作用で金融機関の経営が厳しくなっていることに関連し、「地方の銀行について、将来的には数が多すぎるのではないか」と述べ、3日の会見で「再編も一つの選択肢になる」と踏み込んだ。
地銀など地域金融機関は、そもそも人口減少、地域経済の冷え込みに加え、超低金利で利ザヤが薄くなっているため、経営は厳しい。上場する地方銀行78行・グループの2020年3月期の連結最終損益は、57行が減益となり、3行は赤字転落している。
安倍政権は地域経済と地銀がそろって弱っていく状況に対し、再編を進める方針を掲げ、地銀の合併や経営統合を独占禁止法の適用除外とする「特例法」を2020年5月に成立させた。銀行の寡占化で融資先に不利益になることを懸念する公正取引委員会と、金融機関の経営健全化を図る金融庁の間を調整して「特例法」に結実させたのが菅氏で、この延長上の地銀再編論といえそうだ。
このほか、菅氏肝いりの携帯電話料金引き下げについては、産業競争力会議のメンバーだった三木谷浩史・楽天会長兼社長との関係なしに考えられないところ。第4の事業者として楽天が参入に手間取っているが、事業が軌道に乗ることが料金引き下げ競争の大きなカギを握る。