ごった煮からの「ひとり立ち」 DANROにみる「会費運営メディア」のあり方【ネットメディア時評】

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ファンクラブと「ライター育成」の側面も

   DANROサポーターズクラブのように、読者からの直接課金で収益安定化をはかる動きは、少しずつ広がっている。デイリーポータルZ(イッツ・コミュニケーションズ、02年創刊)は、会員制度「友の会」を経て、18年9月から「はげます会」(1000円)を運営している。編集部・ライターによるメールマガジンに加え、はげましひろば(Facebookページ)では読者参加企画も呼びかけ。双方向のコミュニケーションをとっている。

   オモコロ(バーグハンバーグバーグ、05年創刊)が19年7月に始めた「ほかほかおにぎりクラブ」は、オンラインコミュニティ(Discord)での交流は「はげます会」と同様だが、ログインボーナスとしてライターを絵柄にしたカードを付与するなど、よりファンクラブの趣が強い。「スタンダードおにぎり」(980円)に加え、「プロフェッショナルおにぎり」(2980円)では、記事・漫画の添削アドバイスや、企画案の相談に乗ってもらえる特典(いずれも月1回)が付けられ、ファンのみならずライター志望者にもメリットがある。

   DPZもオモコロも10年以上の歴史を持ち、すでに知名度が高い。所属ライターの「キャラ立ち」もされていて、確固たるファンがいる。プラットフォームとしてのnoteを見ても、文藝春秋digital(900円)、TV Bros.(500円)といった雑誌のデジタル版があり、「記事への対価」としてのサブスクリプションには競合が多い。大鍋に入れられた「ポトフ」から、文字通り「ひとり」になったDANRO。煮詰まらないように、焦げ付かないように、いかに味を深めていくがポイントになるだろう。

(J-CASTニュース副編集長 城戸譲)

【J-CASTネットメディア時評】
いまインターネットでは、なにが起きているのか。直近の出来事や、話題になった記事を、ネットメディアの「中の人」が論評します。

城戸譲 J-CASTニュース副編集長
1988年、東京生まれ。大学でジャーナリズムを学び、2013年ジェイ・キャスト新卒入社。Jタウンネット編集長などを経て、18年10月より現職。「ニュースをもっと身近に」をモットーに、政治経済からエンタメ、生活情報、炎上ネタまで、真面目とオモシロの両面で日々アンテナを張っている。ラジオとインターネットが大好き。(Twitter:@zurukid

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