葬儀の構造的変化はコロナ前から...オンライン化定着するか
さらに葬儀の「オンライン」化を進めたサービスも。さいたま市の葬儀会社「セレモニー」は、葬儀の中継だけでなく、供花の受け付けや香典の預かり、返礼品の注文まで、全てオンラインでできる「スマートセレモニー」を6月から始めた。8月末までに500件ほどの利用があったという。
このサービスでは、喪主がウェブ上に専用ページを設け、訃報をメールやラインで配信するほか、弔問、会葬、供花、弔電、香典、返礼品など、それぞれの受け付けページに案内する。香典や供花はクレジット決済で受け付ける。「リアル」に葬儀場へ行く場合は、事前にQRコードで記帳と香典渡しを済ませることで、着いてから会場で列に並ぶ必要がなくなる。
葬儀はリアルタイムでの中継に加え、喪主からのお礼を伝える動画やメモリアルムービーを配信することもできる。会葬者は香典返しをウェブ上のカタログから自分で選んで受け取ることができる。セレモニーの広報担当者はこのサービスのメリットを説明する。
「利用者からは『子どもが小さいので参列できず一緒に中継を見ながら(亡くなった)祖母を偲ぶことができた』『老人ホームでお亡くなりになり、一緒に入居していた方々に向けてライブ配信し、大変喜ばれた』など、様々な事情から実際のご会葬がかなわない方に喜んでいただいています」
こうした葬儀のオンライン化は今後も定着するのか。高齢化で死亡年齢が高くなって「現役時代」の関係者の参列が減ったり、都市部を中心に近所付き合いが減って町内会などの参列者が少なくなったりと、コロナ前から葬儀をめぐる構造的な変化は起き始めている。葬儀業界のビジネスモデルはどうなるのか。
公益社の広報担当の土井さんは「近年は家族葬や少人数での葬儀が多くなる傾向が強まっていました。私どもも、葬儀そのものだけでなく、遺品整理や相続、遺された方のケアなど、葬儀後も含めたサービスに力を入れています。葬儀のあり方も変化していくと思われます」。