「お葬式」の変革、コロナ禍で加速 QRコードで「香典渡し」、遠方・海外から「リモート参列」...最新事情を探る

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スマホ越しでお礼の言葉、ご遺体にお別れも

   葬儀では一般的に、通夜の後に通夜振る舞い、翌日の葬儀(告別式)後の精進落としと、遺族や参列者が会食をしながら親密に会話する機会が多く、参列数が多ければ「3密」になるリスクも高い。高齢化によって死亡年齢が高まり、遺族や参列者の年齢層も高い傾向がある。そのため、新型コロナウイルスの感染が拡大した後は、参列者数を絞ったり、会食を無くしたりする例が増えているようだ。

   公益社では感染予防のため、葬儀場内の消毒や受付など各所へのアクリル板の設置、職員のマスク着用などを実施。さらに、「ソーシャルディスタンス」を意識して広めの会場で席を最低1メートル離して配置したり、会食はビュッフェ形式をやめて1人ひとり個別に食事を提供したりするなどの対応をとっている。

「リモート参列サービス」の準備をする公益社の職員(公益社提供)
「リモート参列サービス」の準備をする公益社の職員(公益社提供)

   また、葬儀への「リモート参列サービス」も7月から導入。Wi-Fi機器や三脚などの関連機材を無料で提供し、遺族らが用意したスマートフォンやタブレットを使って葬儀の様子を撮影、中継、配信している。

「4月に緊急事態宣言が出たあと、アメリカに駐在していた男性が移動制限でお父様の葬儀のために帰国・参加できないことがありました。そこで、(iPhoneの無料ビデオ通話アプリ)FaceTimeで中継して、アメリカから『参列』していただいたのです。これをきっかけに、サービスとして導入することになりました」(公益社の広報担当・土井佐季さん)

   遠隔地にいたり発熱したりして葬儀に行けない関係者と、「リアル」で参列する遺族らとがFaceTime、Zoomやラインなど様々なビデオ通話アプリでつながることで、「参列」することができるようになる仕組みだ。遺族側に頼まれれば、職員が撮影などを手伝うこともあるという。

「スマホ越しで会葬者にお礼の言葉を述べる方もいれば、ご遺体にお別れの言葉をささやかれたり、式の後に遺族同士で会話されたりと、色んな使い方をしていただいています」(公益社の土井さん)
公益社提供
公益社提供

   公益社が扱う葬儀の件数自体はコロナ後もあまり変わっていないが、参列者が少なくなり、会食などの発注も減ったため、20年4~6月の売上高は前年同期比でマイナス18.6%と悪影響があった。特に、公益社が強みを持つ社葬がほぼ全て延期または中止となり、金額ベースで前年同期比より約80%の減収となったという。

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