「ムーラン」の評判、中国の観客からも「今ひとつ」 描写「浅すぎる」と違和感続出、「ハリウッドが雑に作った...」

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   新型コロナウイルスの影響により、一部の国で劇場公開が中止、米国や日本では2020年9月4日に公式動画配信サービス「Disney+」で独占配信が行われた実写映画「ムーラン」が、その舞台である中国で酷評されている。

   明らかに中国市場を意識した構成や出演者を取りそろえたにも関わらず批評が止まらないのは何故だろうか。

  • 大々的なプロモーションが行われたが…(写真:AFP/アフロ)
    大々的なプロモーションが行われたが…(写真:AFP/アフロ)
  • 大々的なプロモーションが行われたが…(写真:AFP/アフロ)

星4以上は1割強しか...

   中国では予定通り劇場公開された実写版「ムーラン」。現地の大手映画レビューサイト「豆瓣電影」における評判は以下の通りだ。約16万人が行った評価の内訳として、星5が3.9%、星4が9.1%、星3が33.3%、☆2が35.9%、☆1が17.9%という数値が公表されている。「ふつう」「あまりよくなかった」「よくなかった」ゾーンに多くの人が集中している状態だ。

   ちなみにほぼ同時期に公開されたディズニーアニメ「2分の1の魔法」は☆5を付けている人の割合が19.7%、☆4が48.2%であることを鑑みても、「ムーラン」は観客が期待したものを提供できなかったことが読み取れる。

   本作は中国の伝説上の女性軍人「花木蘭」を題材とした物語。ディズニーは1998年にもアニメ映画化している。

   そのテーマからもわかるとおり、中国市場を強く意識したディズニーの大作だ。製作費2億ドル(約211億円)もの製作費をかけていたことからも「ドル箱」もとい「人民元箱」コンテンツになることを期待していたことが伺えるだろう。しかし、ふたを開けてみれば興行収入は大爆死。SNSやレビューサイトには多数の批判が寄せられているのが現状だ。

中国文化を知っていれば違和感満載の画面

   これらのレビューや感想を読み解くと、アニメ版のファンが「思っていたのと違ってがっかりした」と書き込んでいるほか、「画面内で展開される中国文化への違和感」が不愉快だったという意見が続出していることがわかる。

   「ハリウッドが雑に作った中国っぽい映画」「中国古典への理解度が浅すぎる」「とりあえず画面を赤くして、お父さんを厳しくして、槍や弓でドンパチしてればOKだと思っていそう」など散々な言い様である。

   中には「本当の自分を貫けば敵を倒せるんだな~」「忠義と愛が全てなのはわかった」と、一昔前によく観られたハリウッド流の「ご都合主義」に対する皮肉を投稿する者も続出。一方、かろうじて高評価を付けたアニメ版を見ていないというユーザーからは「西洋人から見た花木蘭はこんなものなのかも」と、なんとも言えない感想が届いていた。

   「ムーラン」をめぐっては、香港・ウイグル問題などと絡んで「ボイコット」の動きも出るなど「逆風」が続くが、肝心の中国市場でも評判がかんばしくないわけである。

   現在に至るまでハリウッドがアジアを舞台に製作した作品は複数あるが、徹底的な調査とリスペクトを持って表現されたものや、中にはその国の観客が首をかしげるような描写が点在するも「トンデモ」要素が「逆に面白い!」とウケた作品も存在する。実写版「ムーラン」はどうやらどちらの域にも達しなかったようだ。

(ライター 室園亜子)

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