中国文化を知っていれば違和感満載の画面
これらのレビューや感想を読み解くと、アニメ版のファンが「思っていたのと違ってがっかりした」と書き込んでいるほか、「画面内で展開される中国文化への違和感」が不愉快だったという意見が続出していることがわかる。
「ハリウッドが雑に作った中国っぽい映画」「中国古典への理解度が浅すぎる」「とりあえず画面を赤くして、お父さんを厳しくして、槍や弓でドンパチしてればOKだと思っていそう」など散々な言い様である。
中には「本当の自分を貫けば敵を倒せるんだな~」「忠義と愛が全てなのはわかった」と、一昔前によく観られたハリウッド流の「ご都合主義」に対する皮肉を投稿する者も続出。一方、かろうじて高評価を付けたアニメ版を見ていないというユーザーからは「西洋人から見た花木蘭はこんなものなのかも」と、なんとも言えない感想が届いていた。
「ムーラン」をめぐっては、香港・ウイグル問題などと絡んで「ボイコット」の動きも出るなど「逆風」が続くが、肝心の中国市場でも評判がかんばしくないわけである。
現在に至るまでハリウッドがアジアを舞台に製作した作品は複数あるが、徹底的な調査とリスペクトを持って表現されたものや、中にはその国の観客が首をかしげるような描写が点在するも「トンデモ」要素が「逆に面白い!」とウケた作品も存在する。実写版「ムーラン」はどうやらどちらの域にも達しなかったようだ。
(ライター 室園亜子)