スタジオジブリ(東京都)は、これまで公開したジブリ作品の「場面写真」の提供を公式サイト上で始めた。
スタジオジブリの代表取締役で映画プロデューサーの鈴木敏夫氏は「常識の範囲でご自由にお使いください」とし、ツイッター上ではさっそく写真を投稿するユーザーが相次いでいる。ただ、「常識の範囲」が一体どこまでを指すのかについては、その解釈をめぐり議論になっている。
米林宏昌氏は「千と千尋」の思い出を投稿
スタジオジブリは2020年9月18日に公式サイト上でお知らせを掲載。「今月からスタジオジブリ全作品の場面写真を順次提供することになりました」と、9月は「新しい作品」を中心に8作品400枚の写真を提供することを伝えた。写真は「常識の範囲でご自由にお使いください」とし、鈴木氏の直筆とみられる同様のメッセージも掲載されている。
9月19日時点で公開されているのは「千と千尋の神隠し」(01年、宮崎駿監督)、「ゲド戦記」(06年、宮崎吾朗監督)、「崖の上のポニョ」(08年、宮崎駿監督)、「借りぐらしのアリエッティ」(10年、米林宏昌監督)、「コクリコ坂から」(11年、宮崎吾朗監督)、「風立ちぬ」(13年、宮崎駿監督)、「かぐや姫の物語」(13年、高畑勲監督)、「思い出のマーニー」(14年、米林監督)の8作品各50枚だ。
これを受け、ツイッター上では早速映画の写真を投稿する人が相次いでいる。声優の梶裕貴さんは19日に「千と千尋の神隠し」で「ススワタリ」が金平糖を持っているシーンなど4枚の写真を投稿し「かわいい。」と一言つぶやいた。
また、かつてスタジオジブリに所属し「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」で監督を務めた米林宏昌氏も、「千と千尋の神隠し」で自身が原画を手がけたというシーンを投稿。「千尋は長編の原画初だったので緊張しつつ、いろいろ研究しながら描きました。ハクにダンゴを食べさせるところはみんなで大型犬に触れながら動きを観察したなあ」と思い出を語った。
鈴木氏からの「壮大な挑発」か?
しかし、鈴木氏が写真利用の条件として挙げた「常識の範囲」は、どんな利用が「アウト」、あるいは「セーフ」なのかを明確に示すものではないとして、その解釈が議論になっている。
「さすがに商用はダメってことよね?」
「(常識の範囲は)作品価値を落とさない。宗教・政治に利用しない。だと思う」
ツイッターは「クソコラ」と呼ばれるコラージュ画像の投稿や、作品の写真を用いた「大喜利」などが盛んなこともあり、「クソコラは常識の範囲内か...?」「大喜利はセーフやろとは思う」といった声も聞かれている。
また、「本人のリテラシーを試されてる」「これは鈴木敏夫からの『常識を持っているか』という壮大な挑発にもとれてしまう」など、鈴木氏があえて曖昧な定義を設けたのではないか、という意見も見られた。
お父さんが食べてるブヨブヨした食べ物はシーラカンスの胃袋と絵コンテに書いてありました。
— 米林宏昌 (@MaroYonebayashi) September 19, 2020
ハクはシュッと動いてピタッと止まるので原画が少なくて楽チン。千尋はビクビクしてるので原画が多くて大変。