安易な「誹謗中傷」訴訟、反訴→賠償のケースも 弁護士が「リスク」にあえて警鐘鳴らした理由

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   インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷が社会問題となり、投稿者に法的責任を問う流れが加速している。そうした中、「誹謗中傷訴訟は逆に違法になるか―誹謗中傷訴訟の限界―」と題したブログ記事が、ツイッターで話題となっている。

   執筆したのは、ネットトラブルに詳しい満村和樹弁護士。安易に訴えを起こすと、反訴されるリスクがあると警鐘を鳴らす。一体、どういうことか。詳しく聞いた。

  • 批判すらできなくなる?
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注意喚起ブログに訴訟の企業、しかし...

   「最近、ネット上で『誹謗中傷狩り』のような事態が見受けられます」――。満村氏は2020年9月9日、前述のブログでこんな問題意識を共有した。

   訴訟をちらつかせ、批判を封じ込めるような兆しがあるといい、「ほとんど嫌がらせのような法的措置の行使が今後横行することを懸念していました」「Youtuberなどが『アンチコメ(ント)うざいから片っ端から訴えてみた』みたいな動画を出すとかありそうですよね(もうあるかもしれません)」と不安視する。いわゆる「恫喝(スラップ)訴訟」のたぐいだ。

   そこで、「法的措置をとることが逆に違法になってしまうことはあるんでしょうか」と投げかけ、東京地方裁判所での二つの判例を紹介した。

   主な内容は次の通り。弁護士Xはブログで、A社の事業に対し、「実体のない話」「資金提供などしたら二度と帰って来ません」などと注意喚起した。するとA社はXに名誉棄損および業務妨害で損害賠償訴訟を提起。同時に刑事告訴と懲戒請求も行った。

   Xは徹底抗戦する。事業への投資勧誘が詐欺とわかっていたにもかかわらず上記の行為を行ったのは違法だとして、A社に反訴した。さらに、不法行為責任で代理人弁護士Yにも損害賠償を求める訴えを起こした。

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