銀行側の甘さも指摘
身元確認を経たドコモ回線利用者を対象にサービスを始めたドコモ口座は、他社回線利用者にも開放され、本人確認はなおざりになった。事件が発覚した後にドコモが初めて開いた記者会見で、丸山誠治副社長は「多くの人に便利に使ってもらいたかった」と反省の弁を述べたが、裏返せばスーパーアプリ化を焦るあまりセキュリティーが後回しになってしまったのだ。
今回の事件では、ドコモ回線やドコモ口座を利用した経験がない人も被害に遭っていた可能性があり、銀行側のセキュリティーの甘さも同様に指摘されている。日本にキャッシュレス決済の機運が高まっていた矢先に発覚したドコモ口座不正は、せっかくの盛り上がりに冷や水を浴びせるものであり、セキュリティーに万全を期す他事業者の足を引っ張るだけではなく、ユーザーの利便性も損ねかねない。