巨人からロッテに緊急トレードされた沢村拓一の鮮やかな復活ぶりをメディアはこぞって取り上げている。
沢村のように復活を...
巨人では今季13試合登板で1勝1敗1ホールド、防御率6.08。2020年シーズンは「勝利の方程式」を担うセットアッパーとして期待されたが、制球難で走者をためて痛打を浴びる繰り返しで首脳陣の信頼を失った。
7月下旬にファーム降格すると、その後も本来の状態からほど遠く、異例の3軍降格も経験。どん底まで落ちたが、環境を変えることで躍動感を取り戻した。ロッテにトレードが決まると、入団会見を行った今月8日に即1軍登録され、日本ハム戦(ZOZOマリン)で3者連続三振の衝撃デビュー。11日のオリックス戦(ZOZOマリン)も2点リードの8回無死二塁のピンチで登板し、無失点と完ぺきな快投を見せた。
持っている潜在能力は凄いが、なかなか発揮できない。これは沢村だけでなく、阪神・藤浪晋太郎にもあてはまる。かつての「虎のエ―ス」も近年は不振が続き、昨年はプロ7年目で自身初の未勝利に。今季は7月中旬に昇格したが、拙守にも足を引っ張られて4連敗を喫した。
8月21日のヤクルト戦(神宮)で692日ぶりの白星を手にしたが、まだ完全復活までの道のりは長い。9月5日の巨人戦(甲子園)で5回途中11失点の大炎上。13日の広島戦(甲子園)も4回途中5失点KOを喫し、翌14日に登録抹消となった。
「あれだけの剛速球に変化球をはさまれたら...」
チームになかなか貢献できていないのが実情だが、それでも他球団の評価は高い。
パ・リーグ球団のスコアラーは、
「沢村と同じ制球難が課題ですが、精神的な部分も大きいと思いでしょう。藤浪も環境を変えることで劇的に改善する可能性がある。個人的には抑えをやらせても面白い。あれだけの剛速球に変化球をはさまれたら1イニングではなかなか打てない。今年は各球団の守護神がなかなか固定できずに苦戦を強いられているのも、威力のある直球を投げられる人材が不足しているからです。四球を出しても三振を取ればいいぐらいの気楽な気持ちで投げれば、藤浪は十分に通用すると思います」
と言葉に力を込める。
首位の巨人から大きく引き離されている阪神のウィークポイントの補強ポイントは強打の外野手だ。ベテランの福留孝介、糸井嘉男の衰えが目立ち、高山俊、中谷将大など中堅も伸び悩んでいる。レギュラークラスの外野手を獲得するためには出血覚悟のトレードも必要となる。藤浪が復活するのは縦縞の球団かそれとも――。