20代女性が駆け込んだ交番は警察官が不在で、そこでも犯人の男からわいせつ行為をされたと報じられ、交番のあり方がネット論議になっている。
「ただいまパトロール中です」。事件があった東京都葛飾区内にある亀有署の南水元交番には、警察官が不在のときには、こんな札が机の上に立てられていた。
警察官刺殺で警戒体制が強化
各メディアの報道によると、女性は2020年9月16日未明、路上を歩いていたところ、自転車に乗った若い男から「かわいいね」と声をかけられ、胸などを触られた。
女性は、走って逃げ、近くの南水元交番に駆け込んだが、警察官は不在だった。男は、交番内にまで追いかけてきて、数分間にわたって胸をもまれるなどしたという。女性が大声を出して抵抗すると、男は逃走した。女性にケガはなかったというが、警視庁では、防犯カメラの映像を分析して、強制わいせつの疑いなどで男の行方を追っている。
この交番では、警察官がパトロール中などでも、訪れた人が警察とすぐにコンタクトできるようにはなっていた。
「御用の方は この電話の受話器を上げると警察署と通話ができますので ご利用下さい」
テレビ映像を見ると、交番内には、こんな案内が机の上の札や窓のシールなどに記されていた。
報道では、被害に遭った女性が、この受話器で警察署に通報したかどうかは不明だ。警視庁は、「当時の状況について検証している」とマスコミの取材に答えている。
2018年に富山市と仙台市の交番で相次いで警察官が刺殺される事件が発生してから、全国の交番で警戒体制が強化された。
ネットでは、「入り口に緊急用ボタンを」といった要望が
交番は、原則として2人勤務体制になり、警察庁が交番での防犯カメラ設置を予算化した。各都道府県警では、交番のほか駐在所でもカメラ設置が進んでいるようだ。
しかし、事件現場に出動するなどすれば、交番が不在になることは現在でも変わらない。昼間は、警察官OBらの相談員がいる交番もあるが、それでも夜間は手薄になってしまう。
被害者の女性が交番に駆け込んだときに警察官がいなかったことについて、ニュースサイトのコメント欄などでは、「被害者の方の絶望感は半端なかったでしょうね」「何の為の交番なのかって所を考え直さないと」といった声が出た。
交番が不在になることについて、「限られた人数でやってるんだからある意味仕方ない」と理解する向きもあったが、警察には、防犯上の要望が相次いでいる。
「電話が置いてあるけど、緊急事態の時にかけられる余裕ないと思う。交番の入り口に緊急用のボタン付けてくれないかな」
「すぐに押せる非常ボタンとかランプとかサイレンとか、対策をしっかりしてほしい」
なお、事件のあった南水元交番では、4月30日に相談員の男性職員(61)が包丁で襲われ重傷を負って、無職の男(57)が殺人未遂などの現行犯で逮捕されているが、今回との関連については分かっていない。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)