報告があがっていた「背番号の視認性不良」
先述の村井チェアマンのコメントにあるとおり、Jリーグは特に動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」の中継がはじまった17年以降、観戦・視聴環境が多様化。スマートフォンやタブレットのような小さな画面で視聴することも珍しくなくなった。生観戦でも、スタジアムによってはスタンドからピッチまでに距離があり、選手の顔が判別しづらいこともある。
また、「選手を覚えていただくきっかけのひとつでもある背番号」という言葉からは、新規ファンやライト層への配慮もうかがえる。そうすると背番号や名前が見やすいことは、ファンに選手を覚えてもらうことを考える上でも大事な要素となり得る。
この点についてJリーグの広報担当は18日、J-CASTニュースの取材に「新規ファンやライト層の皆様にもJ リーグにより関心を持っていただき、楽しんでいただくきっかけの一つにしたい思いも、もちろんございます。これまで応援いただいている皆様にとっても、J リーグの試合がより観やすく、楽しんでいただける効果が生まれることを目指して取り組んでおります」と答える。すべてのファンに配慮した結果ということだ。
「視認性」については、13~18年の間に「背番号の視認性不良」というマッチコミッショナーからの報告を43 件(ユニフォームは25例)受けたという。リーグにとってこの数字は決して馬鹿にできない。
「報告は年4、5 クラブで発生しており、観客の皆様への配慮不足、ジャッジへの影響、改善要求等が継続的に指摘されていました。5 クラブで発生している場合、年間100試合以上の観戦に影響が生じている事になり、その状況を軽視する事はできませんでした」(Jリーグ広報、以下同)
Jリーグでは2年かけて統一フォントの議論をし、クラブとの合意形成を進めてきたという。
「本件は2018 年より議論を開始しました。背番号フォントについてはクラブ毎に独自の考え方があることは認識しており、統一することによって様々な葛藤があったことは事実ですが、全クラブの実行委員が参加する実行委員会、クラブ代表理事、外部識者が入る理事会でと複数回議論を重ねて参りました。当初クラブからは、実施について反対論もありましたが、現状の課題や統一の目的について議論を重ね、最終的には『リーグ全体の平均点を上げる』という考え方に賛同いただきました」