菅内閣が発足した2020年9月16日夜、菅義偉首相が初めて首相としての記者会見に臨んだ。
首相官邸の会見室で行われる記者会見は、安倍政権の末期では約1時間にわたって開かれ、記者との質疑応答も30分以上行われていたが、今回の会見時間は約30分で、外国メディアやフリーランスの記者は指名されなかった。この30分という会見時間は、12年12月に安倍晋三前首相が、首相就任直後に開いた会見と同じ水準だ。
プロンプターなしで15分間の冒頭発言
菅氏の会見は21時過ぎにスタート。安倍氏が多くの会見で使用していたプロンプターは使わず、時折手元に目を落としながら新型コロナウイルス対策や地方創生、少子化対策、などに言及、「国民のためになる、ために働く内閣をつくる」などと15分間にわたって話した。
直後に司会者が「この後、閣議が控えておりますので、21時30分めどで終了とさせていただきます」と宣言。首相会見では最初の2問を幹事社が担当するのが慣例で、幹事社のNHK、西日本新聞に続いて、日経新聞、ニコニコ動画、京都新聞の計5社が質問した。
菅氏は質問に答える中で、安倍氏の後援会関係者が多数招待されたことが問題になっていた首相主催の「桜を見る会」について、21年以降は中止する意向を表明した。これを踏まえて「安倍総理だったり、どなたかに御相談をされたのかどうか」と確認するもあったが、菅氏は中止を決めた経緯についてのみ答えようとした。記者が改めて
「安倍総理には、前総理には、お話は」
と確認し、菅氏が
「(前)総理も、従前から予算要求については否定的だった」
と答える場面もあった。補足の質問には対応した形だが、外国メディアやフリーランスは指名されることなく、会見は司会者の宣言通り30分ほどで終了した。
安倍前首相の会見では加盟社以外に質問うながす場面も
安倍氏が退陣を表明した8月28日の記者会見は1時間にわたって行われ、冒頭発言は13分。残りの時間は質疑応答にあてられた。幹事社の日本テレビと読売新聞の記者が質問したのに続いて、朝日新聞や共同通信が続いた。15人目の毎日新聞の記者が質問を終えると、司会者は「内閣記者会常勤幹事社の皆さんから御質問いただきましたので、そうでない方から若干頂きます」と加盟社以外にも質問をうながし、フリーランスの江川紹子さんを指名。その後はロイター通信、ビデオニュース、西日本新聞、報知新聞の記者が続き、計20人が質問した。
なお、安倍氏が首相就任直後の12年12月26日に開いた会見の長さは、約28分30秒。そのうち冒頭発言は13分30秒ほどで、質問したのは時事通信、日経新聞、ロイター通信、朝日新聞、ニコニコ動画の5社だった。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)