SNSで広がる「資金調達」。プロフィールには、「平均でも350万取れる!」などの謳い文句が書かれている。ふたを開けてみると、新型コロナウイルスの影響で収入が減収した世帯を対象に一定額の貸し付けを行う、総合支援資金と緊急小口資金の不正利用をあっせんするものだった。実情を取材した。
資金調達の皮を被ったコロナ融資の不正あっせん
「資金調達専門アカウント」「即日即金&着金!」と謳うアカウントがSNS上で多く見かける。写真共有アプリのInstagram(インスタグラム)では、現金の束を写真で撮り、ハッシュタグ「#投資」とつけ投稿されていた。
実際にそのアカウントに連絡を取り、内情を探った。「興味があります」とメッセージを送信すると、一週間後に連絡が返ってきた。
「はじめまして、ご連絡ありがとうございます。いくつかの手段がありますので簡単に精査させていただきます。ご年齢、ご職業、(他の)借入額、借入場所をお答えください」
記者の立場を隠し「26歳、休職中、借入ゼロ、借入場所ゼロ」と答えると、持続化給付金の支援を受けたかの確認がきた。持続化給付金詐欺の一種の可能性がある。「受け取ってます」と回答をし、相手の手口を伺った。
4時間後、再びメッセージが届く。
「了解しました。税理士のラインをお教えするので、そちらにご連絡お願いいたします。max80万金利0%手数料あり」
LINEを登録すると、「加藤・佐々木税務事務所の加藤と申します」と連絡が来た。LINE@(ラインアット)という、ビジネス向けのアカウントを利用していた。登録者は600名を超えている。
続けて「国の融資制度である新型コロナウイルス対策特別融資についてご説明させていただきますので、お電話可能な時をお教え下さいませ」とメッセージが送付された。
早速、翌日の11時に電話をすることに。そこでは、新型コロナウイルスの影響で収入が減収した世帯を対象に一定額の貸し付けを行う、総合支援資金と緊急小口資金の不正利用をあっせんする案内が待ち受けていた。