前防衛相の河野太郎氏について、「総務相」から「行革相」に変更されたとも報じられ、ネット上で様々な憶測が流れている。
「左遷」させられたのではとの見方も一部で広がっているが、実際のところはどうなのだろうか。
当初は、総務相に固まると報じられるが、結果は無任所大臣に
「河野なら本当に携帯料金下げられるかもしれない」「テレビ局の電波利権にも手を突っ込んでくれ!」。河野氏を総務相に充てる人事が固まったと、いくつかのメディアが2020年9月15日に報じると、ネット上ではこんな声が相次いだ。
自民党の菅義偉新総裁が、国際的にも高いとされる携帯電話料金の引き下げに意欲を見せていたため、突破力のあるとされる河野氏に期待が集まった形だ。
ところが、15日夜になって、総務相から行革相に変更される方向だと報じられると、「変更」にはどんな意味があるかに関心が集まった。
行革相は、受け持ち省庁のない無任所大臣であることから、「役不足だろう」「実質左遷みたいな形かこれ?」「総理大臣レースから外す思惑があるのではないか」などと推測する声も相次いだ。河野氏は、イージス・アショアの配備断念で十分な根回しを行わずに反発を受けたなどとも報じられていることから、党執行部からクレームがついたのではとの憶測も出た。
一方で、菅氏が「俺はつくるほう。壊すのは河野」といった内容を周囲に漏らし、河野氏には「目玉だから、しっかりやれ!」と激励した、と産経新聞が報じたこともあって、「菅総理肝煎りのポストだから、むしろ重用されてる」との見方もあった。
菅氏が16日、国会で首相に指名され、閣僚名簿が発表されると、河野氏は、行革・規制改革相兼沖縄・北方相に起用されたことが分かった。
河野氏が左遷された可能性があるのかについて、政治評論家の有馬晴海さんは16日、J-CASTニュースの取材に次のように話した。
「政権の目玉だと考え、縦割り打破を期待しているはず」
「具体的なことは聞いていませんが、河野さんでは嫌な族議員がいて、党内から注文があったとも見られています。それでも、菅さんは、河野さんのことを政権の目玉だと考えていると思います。菅さんは、縦割り行政のような無意味なものを壊せと河野さんに言っているそうですから、そのことを河野さんに任せ、自分は国をまとめるという考えでしょう。スクラップ&ビルドによる国政再編を狙っており、菅さんは、河野さんとのすみ分けを考えていると思います」
例えば、行革においては、菅氏がマイナンバー制度の普及に力を入れていたことから、役所の手続き一元化のために省庁を結ぶオンライン化を進めるのではとみる。また、大雨によるダムの放流で、縦割り行政の弊害が指摘されたことから、一斉にできる横断的なシステムの導入なども考えているはずだとした。
沖縄担当としては、官房長官時代の菅氏が担当していた辺野古問題について、菅氏と協議しながら対策を進めるはずだとみている。
衆院解散・総選挙の時期については、有馬さんは、これまでささやかれていた10月ごろではなくなった可能性があると話す。
「菅さんは、コロナの鎮静化やワクチンについて触れていましたので、解散は、来年の任期満了近くになる公算も出てきました。総理になったからには長期政権を目指しているはずで、携帯料金の4割値下げなどを進めて、実績を残してから来年の総裁選に臨むことを考えていると思います。河野さんは、ライバルでもありますが、河野さんも生き残るために一生懸命やるはずで、それは菅さんの実績にもなります。菅さんは、仕事をして、政権の評価を受けてから、総選挙をしたいと考えているのではないでしょうか」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)