「#出版物の総額表示義務化に反対します」
作家・編集者から危惧相次ぐ理由

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流通期間長く...「刷り直し」のダメージ大きい

   日本書籍出版協会などは、財務大臣に対し2003年にも「消費税の価格表示に関する要望書」を提出した。これによれば、出版社は多品種の既刊書在庫(この時点で約60万点)を長期間保有しているという。新刊書だけでなく何年も前に発行した既刊書の需要も高く、また他の商品に比べて代替性が乏しいためである。

   つまり出版業界は、ニーズに応えるために古い商品、消費税変更前の価格を印字された商品も多数抱えているということになる。総額表示が義務化されたならば、これらをすべて修正しなければならず、多額のコストがかかってしまう。

   2003年の要望書によれば、特に1989年の消費税導入時には、経費などとの兼合いから、廃棄または絶版にせざるを得なかった専門書や小部数出版物が多数にのぼるという。

「消費税導入時には、『小売段階での再販価格は、消費者が支払う消費税込みの価格である』(公取委、1989.2.22)とされ、店頭商品も含めて総額表示に一律に変更せざるを得ませんでした。そのため、出版業界は、他の業種とは比較にならぬ多大な経費を要しました。出版社においては、1社平均 3,623 万円(日本書籍出版協会調べ。全産業では 5 万円以下 55.9%、1,000 万円超 0.8%、大蔵省調べ)となり、経費等との兼合いから廃棄または絶版にせざるを得なかった専門書や小部数出版物が多数に上るという由々しき事態が起き、問題となりました」

   さらには、取次会社や全国の小売書店においても、システムの変更、商品の入れ替えに伴う返品・再出荷の運賃負担などが生じたとしている。

   この要望書では、将来にわたり価格表示の変更の度に多大な負担を迫られること、その結果多くの出版物が流通できなくなる可能性があり、読者の不利益、著作者の出版意欲への影響、また学術・文化の振興・普及上の損失は免れないとして、書籍等の出版物は、消費税の総額表示義務付け規定の対象外とするよう要望している。

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