タレントの岸部四郎さん(71)が拡張型心筋梗塞による急性心不全のため、2020年8月28日に死去していたと、9月15日に各メディアが報じた。
岸部さんは「ザ・タイガース」のメンバーとして活躍したほか、1978年放送のドラマ「西遊記」(日本テレビ系)では沙悟浄役で人気に。さらに、1984年からはワイドショー「ルックルックこんにちは」(同局系)の2代目司会者を務めるなど、長きにわたって活躍を続けた。
ただ、その一方で、自らの浪費癖などを原因とする巨額の借金が明らかになったほか、2003年には脳出血を発症。さらに、その後はパーキンソン病を患って入退院を繰り返すように。そして、2013年の「ザ・タイガース」再結成が最後の公の場となった。
まさに、波乱万丈の人生
全盛期の華々しい活躍と、その後の転落ぶりがどうしても目についてしまう岸部さんの人生だったが、その転落のきっかけは、やはり、前述の借金問題だった。
1998年4月6日、岸部さんは突如として「ルックルックこんにちは」の司会を降板。その2日後には本人の代理人から元本が5億円以上、利息の返済だけで月1200万円の借金があることが発表され、番組降板が本人の自己破産が原因であることが判明した。負債額が膨らんだ理由としては、当初は、前妻への慰謝料と子供2人の養育費や連帯保証人としての支払いと説明されていたが、その後、本人の浪費癖によるものも含まれているとの週刊誌記事が飛び出すなど、徐々に借金スキャンダルとしての側面が明るみに出るようになったのだった。
2001年には自己破産が確定して借金は免責に。全てを失ったかに見えた岸部さんだったが、この頃から岸部さんは「貧乏キャラ」として再ブレイクし始める。2002年に放送された「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで」(日本テレビ系)では、1回の出演で計4回落とし穴に落ちる企画が放送され、落ちた落とし穴の中から「オレを誰や思うてんねん! 元金持ちやぞ!」「もう、カネしかないなあ!」との「迷言」を吐くなど、新たなキャラを開花させたのだった。
「ミヤネ屋」出演時には「強制断捨離」のハプニング
また、2011年に放送された「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)の風水コーナーに出演した際には、本人曰く、「15万円の価値がある」といっていた古書が640円で売られてしまうというハプニングが発生。家の中を模様替えして運気を上昇させるというテーマの企画だったのだが、番組が本人の留守中に売却してしまったことから、ネットでは「ひどい。岸部さんが可哀想だ」といった視聴者からの声が相次ぐ事態となった。
これら、お金にまつわる「伝説」が多いためか、岸部さん死去の一報を受けてネット上では、
「岸部四郎さんが天竺にたどり着いてしまったようだ。いろんな番組で楽しませてもらいました。晩年は借金とか大変だったと思いますがご冥福をお祈りします」
「岸部四郎さん亡くなったのか。個人的にはガキの使いで何度も落とし穴に落とされるコントが秀逸だった」
「岸部四郎さんと云えば、10年前、ミヤネ屋が岸部さん蔵書のの吉田健一全集を二束三文で無理やり売り捌いたのを思い出すたびに胸が痛くなる」
といったツイートが続々と上がるなど、その強烈なエピソードを思い出したとする声が相次いでいる。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)