2000年代に「スキャダル」2回、「慎重になった」?
先出の自民党議員秘書は、1回のパーティーを900万円台以下にすることは、別のメリットもあると証言する。
「(1回1000万円以上の)特定パーティーだと収支報告書に購入者の総数の追記が必要となります。購入者数を記載すると、会場費として支払った経費などから色々と調べられて、過少申告がばれてしまう恐れがあります。菅さんについてはわかりませんが、うちの議員が大臣の時は900万円台以下になるよう、書いていました」
7年8カ月にわたって官房長官の要職にあった菅氏。この間、閣僚をめぐって「政治とカネ」をめぐるスキャンダルは噴出し続けたが、菅氏自身は無縁に等しかった。ただ、2000年代後半に2度に渡って政治資金に関する不祥事を報じられたことがある。
1回目は菅氏が第1次安倍政権の総務相だった2007年8月。菅氏の自民党支部が菅氏所有の横浜市南区のビルに事務所を置く代わりに、月約36万円の賃料を菅氏に支払っていた、と報じられた件だ。当時の農林水産相が家賃のかからない実家に後援会の事務所を置き、賃料を「還流」させていた疑惑が発覚した後の報道だ。総務相は政治資金規正法を所管する大臣。菅氏は当時、「政治団体が家賃を支払わなければ『無償供与』になってしまう」として逆に不適切だと主張。電話代など家賃以外の支出の領収書も公開し、違法性はないと強調していた。
2回目は翌08年、東証2部上場の不動産・建設会社「スルガコーポレーション」(横浜市)から菅氏の自民党支部が2001~07年に計104万の献金を受けていた問題だ。スルガ社をめぐっては、スルガ社がビルの立ち退き交渉を依頼した山口組系の企業の社長が、弁護士資格がないのに報酬を得て立ち退き交渉をしていたとして、弁護士法違反の容疑で逮捕された。菅氏の事務所は当時、「東証2部上場企業で、まさかそんな事件にかかわるとは思わなかった」とコメントし、全額を返金している。
菅氏が官房長官の時に長く「番記者」を担当した全国紙の記者はこう話す。
「この2件を報じられたのは相当ダメージだったようです。『次に政治とカネの問題が出たら、閣僚の目はない』とばかりに、寄付をもらい、政治資金収支報告書に記さないといけない場合は、(寄付者に)問題がないか、相当慎重になったそうです」