ネタバレ・スクショの功罪 識者に聞く「キン肉マン」声明の見解

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画像拡散で有名作品になった例も

   今回はゆでたまごの2人が明確にスクリーンショットを禁じているために、無断でのスクリーンショット使用は、権利者はもちろん読者からも非難されている。一方で作者や出版社によっては、マンガの画像が広まることを容認、もしくは黙認している場合もある。マンガのコマがミーム化することで、作品が売れる可能性があるからだ。

   漫画サービス「アル」の古川さんは、コマ画像が広まることで有名になったマンガもあると指摘する。

「たとえば、『NEW GAME!』などは、マンガのコマがミーム化することにより、作品の知名度に大きく影響をしていると聞いたことがあります。実際に当時、単行本が多くの本屋で売り切れたりもしたようです」

   「今日も一日がんばるぞい!」と意気込む女の子の1コマは、SNS上で多用されている。これは、漫画「NEW GAME!」(作:得能正太郎さん)の主人公、涼風青葉のセリフ。現在では同シーンのラインスタンプを販売するなど、出版社もこの影響を認知しているとみられる。

漫画「NEW GAME!」(作:得能正太郎さん)の主人公、涼風青葉
漫画「NEW GAME!」(作:得能正太郎さん)の主人公、涼風青葉

   一方で、直接作品の知名度につながりきっていないケースもあると古川さんは述べる。

「たとえば、『しあわせアフロ田中』の中の『誰も消防車を呼んでいないのである!』というものもミーム化して有名になりました。こちらは、弊社事例で恐縮ですが、『消防車メーカー』というものを作って提供したところ、1万件近くの画像が作成されたのですが、その際に『このマンガがアフロ田中だとは知らなかった』という声も多数いただきました。作品名などがセットできちんと提供されないと『見たことがあるけど、作品を知らない』ということも起こりえると考えています」
消防車メーカー
消防車メーカー

   古川さんは、作者がスクリーンショットについてポジティブである場合、作品名がわかりやすく記載された状態で掲載されるなどの対応があるとよりよい形になるのではないかと考えている。そこで漫画サービス「アル」を立ち上げ、出版社や作者から許可された漫画のコマ画像を自身のブログなどに埋め込むことができるサービスを展開している。

「マンガのスクリーンショットのアップロードなどは、作者によっては、『作品の宣伝になるからどんどんやってほしい』という人もいれば、やらないでほしいという方もいます。
また、スクリーンショットのアップロードをされるケースを見ていると、少なくないケースで法令で定められている範囲を超えていることが多くあります。
我々は、まず、一番大事にすべきは、作者の方や出版社の方の想いであり、また作品がきちんと売れて読者に届くことだと考えています。その上で、『画像が出回ることで、宣伝に少しでもなれば』と考えている作者・出版社の方と、インターネット上でコマを使うことでコミュニケーションを盛り上げたい人をつなげることで、よりよい形にしたいと考えたのがきっかけです」

   そして、権利者も読者も安心して楽しめる方法を提供できるべきだと述べる。

「漫画業界では、あまり読者の楽しみを制限しない、うるさくいわない、という文化があります。しかし、それはあくまで、作者も出版社の許容範囲の話にすぎません。SNSなどが爆発的に普及している今、権利者も読者も安心して楽しめる方法を提供できるべきだと思っています」
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