「着用できないのでしたら、事前に申し出いただきたかった」
今回のトラブルについて、HACの広報担当者は9月14日、乗客間で言い争いがあったわけではなく、座席に着いた男性客に客室乗務員がマスク着用を求めたことがきっかけだったと、J-CASTニュースの取材に説明した。
同じ列には、2席と通路を挟んで1席があり、男性客は最前列で、この列にも後ろの列にも他に乗客はいなかった。しかし、換気がされているとはいえ機内は密室状態にあることから、男性客にマスク着用を求めたとした。
これに対し、男性客は、出発を促す言動を繰り返したほか、質問をはぐらかし、要請がしつこいと反発したという。
「答えたくない事情についてお聞かせいただけない理由もお話しいただけませんでした。大声を出されたわけではなく、威圧的なこともなかったと認識していますが、他のお客さまは逃げる場所がなく、こちらも機内秩序の維持を気にしています。マスクをしなかったことが理由ではありません」
ポスターなどでマスク着用を呼びかけていたとして、広報担当者は、「着用できないのでしたら、事前に申し出いただきたかったですね。機内でも、紙に書いて伝えることもできたと思っています」と話した。
何も不当なことはやっていないとして、航空法151条には当たらないとしている。男性客への損害賠償請求については、そこまで考えていないという。
マスク着用を巡っては、ピーチ機を降ろされた男性客も、義務ではないので拒否する理由を言う必要はないはずだとツイッターなどで主張している。
航空各社でつくる定期航空協会は、この点について、取材にこう説明した。
「新型コロナ対策の専門家会議が5月にマスク要請などを提言したのを受け、国交省の航空局と相談して協会でガイドラインを作成しました。大前提となるのは、他のお客さまがいますので、マスク着用は、感染を拡大させない目的だということです。マスク拒否の理由を言わないことへの対応については、各航空会社の判断になると思います」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)