寛容性を失った左派
さらにエリオットは、左派がいかに寛容性を失ったかを、切々と訴え、トランプ大統領を強く支持する知り合いの話をした。
「彼女はNYU(私立NewYork University=ニューヨーク大学)の大学院で神経科学を学んでいる。MAGAハット(「Make America Great Again」と書かれた野球帽)を被っていようものなら、ひどい中傷を浴びる。しかも教授が、トランプをこき下ろす辛辣なジョークを言う。知性が集まっているはずのあの大学で、その有様だ。(共和党の大統領だった)レーガンやニクソンの時代に、そんなことはなかっただろう」
私もかなり前にNYUの大学院で学んだが、教授陣にはリベラルな民主党支持者が多い。ほかの学校でも、高校教師や大学教授が授業中にトランプ氏を批判するという話を、私自身、何度も聞いている。
「メディアの偏向報道にも呆れる。トランプがやることはすべて、気に食わないんだ。イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の関係正常化に向けて、歴史的な合意が結ばれた。それを仲介したトランプ大統領はノーベル賞ものだよ。なのにFOXニュース以外のメディアは、ろくに報道すらしないんだ」
9月11日には、同様にバーレーンとも国交正常化に合意したと発表されたが、これに対してパレスチナは強く反発している。
エリオットはまた、デ・ブラジオ市長がニューヨークの治安にまともに向き合っていないと憤る。市内ではここ数か月の間に銃撃事件が増え、犯罪が急増している。また、性犯罪者やドラッグ依存症などのホームレスの姿を路上でよく見かけるようになり、コロナ感染拡大を避けるためにホームレスをシェルターから移動したホテルが集まる地域などでは、住民が不安の声をあげている。
「警官が叩かれて、力が弱くなっているから、ギャングらはやりたい放題だ。市長さんよ、トランプタワーの前の五番街に、一緒になってペンキで『BLACK LIVES MATTER』を書いている場合じゃないよ。流れ弾に当たって、幼い子供が撃たれている。治安が最優先だ。問題にちゃんと対処してくれよ」
エリオットは、彼の友人で「ガーディアン・エンジェル」の創設者であるカーティス・スリワ氏を次期市長にと、人々が立ち上がったことに触れ、「それが今のニューヨークの現実だよ」と言い放った。
「ガーディアン・エンジェル」はニューヨークで犯罪が多発していた1970年代後半に、地下鉄での暴力と犯罪から市民を守るために作られた非営利団体で、世界的な組織へと成長した。
ジョージ・フロイド氏の死をきっかけに起きた抗議デモに便乗し、この街で強奪が起きた時、ガーディアン・エンジェルが体を張って商店を守り、メンバーらが怪我を負った。