俳優の眞島秀和さん(43)が主演を務めるドラマ「おじさんはカワイイものがお好き。」(日本テレビ系)の第5話・最終回が、2020年9月10日深夜に放送された。ほのぼの大団円を迎えたその裏に、「現代社会へのメッセージ」があると捉える声が広がっている。
自分の「好き」の大切さはわかっていても...
本ドラマは、ウェブマンガサイト「COMICポラリス」(フレックスコミックス)で連載中の同名マンガが原作。才色兼備の「イケオジ」ことサラリーマン・小路三貴(眞島さん)は、黄色い犬のキャラクター「パグ太郎」のことが大好き。誰にも言えない秘密を抱えて生きることの葛藤を描く、「おじカワ」コメディだ。
この作品の主要人物は、同じかわいいもの好きという共通点を持つ「中目黒系男子」・ケンタ(今井翼さん=38)と、小路の同僚で無類の猫好き・鳴戸(桐山漣さん=35)、少女漫画家を夢見る小路の甥・真純(藤原大祐さん=16)、そして小路の4名。それぞれ自分と自分の「推し」とのギャップがありすぎることを理由に、誰にも言わずただ一人推しを愛でる日々を送っていたが、小路とケンタ、鳴戸と真純の出会いによって物語は動き出した。
エピソードを通して、「推しを好きであるという気持ちの尊さ」や「他人の好きを否定しない」ことなどを訴えてきた同ドラマ。そこには一貫して「多様性を認めていこう」という主題があるのでは? とネット上で話題になってきた。
思い返せば、最初に他人の「好き」を打ち明けられた際、鳴戸は小路が「パグ太郎」好きであることを揶揄(やゆ)していたし、小路は真純に「漫画家は不安定な職業だ」と反対する。つまり、自分の好きの大切さはわかっていても、他人のそれはわかっていなかったのだ。
他人にもそれぞれ「好き」がある
しかしその後、小路はケンタと、鳴戸は真純と「オタク友達」となり互いに理解を深めたことで、他人にも自分のように大切にしている「好き」があることに気がつく。
最終回では、会社のフロアに落ちていた「パグ太郎」のメガネ拭きを、自分のものだと言い出せない小路の変わりに、鳴戸が「それは私のです」とフォロー。また、小路は真純が今後お世話になる出版社へ出向き、保護者としてまた同志として、担当編集者に直接挨拶をしている。小路も鳴戸も、他人の「好き」を尊重するようになったのだ。
「多様性」が重要なキーワードとなっている現代。ほのぼのとしたコメディ作品が訴えたこのメッセージに、視聴者からは「押し付けたり押し付けられたりせずに、好きなものを好きと言えて、それを認められるようになれたらいいよね」「みんなが好きなものを好きと堂々と言える偏見の無い世の中になればなぁと考えさせられます」「わかりあえなくてもお互いに尊重はできる」「多様性云々言われてるこの世の中に必要なドラマ」「自分も誰かの好きを尊重できるようになりたい」などと反響を呼んでいる。
ドラマのBlu-ray&DVDは、2021年2月10日に発売予定となっている。