他球団に移籍した「元巨人のドラフト1位」の選手たちが奮闘している。巨人からロッテに電撃移籍した沢村拓一が入団会見した2020年9月8日に即一軍登録され、日本ハム戦(ZOZOマリン)で1点リードの6回に救援登板し、三者連続三振と完ぺきな快投で勝利に貢献した。
試合後のヒーローインタビューでは、「名前を呼ばれたときの声援は絶対に忘れません」とスタンドに感謝の気持ちを表し、ロッテファンの心を早くもつかんだ。
今や日ハムの主力となった太田も
沢村だけではない。18年オフに巨人にFA移籍した炭谷銀仁朗の人的補償で西武に移籍した内海哲也も2日のロッテ戦(ZOZOマリン)で5回無失点の快投で743日ぶりの白星を挙げた。移籍初年度の昨年は先発要員で期待されながら、度重なる故障に苦しんで1軍登板なし。今季も開幕ファームスタートだったが、巨人で長年エースを張ってきた38歳左腕が意地を見せている。
長野も今年は雪辱に燃えている。18年オフ、丸佳浩が巨人にFA移籍した際の人的補償で広島へ。内海と共に巨人の主力として貢献してきただけに、ファンからはショックの声が大きかった。心機一転で赤いユニフォームに身をまとったが、昨年は72試合出場にとどまり、打率.250、5本塁打、20打点と不本意な結果に。対して今季は9月9日現在で53試合出場、打率.255、4本塁打、19打点で得点圏打率.342と勝負強さが光る。
同じ巨人のドラフト1位でも日本ハム・大田泰示はタイトルを獲得した沢村、内海、長野と立ち位置が違う。08年ドラフト1位で入団し、松井秀喜氏の背番号「55」を与えられたが伸び悩んで、16年オフに日本ハムへトレード。新天地でスケールの大きなプレーを取り戻し、今や主力としてチームに不可欠な選手に成長している。
「飼い殺し」しなかった巨人を評価すべき
各選手の頑張りはもちろんだが、「飼い殺し」をしなかった巨人の姿勢も評価されるべきだろう。他球団にトレード移籍で活躍した選手を見て、「球団フロントは見る目がない」と責めては移籍市場の動きが鈍る。
内海、長野、沢村、大田はトレードされず、巨人でプレーし続けても活躍できたか分からない。「元巨人のドラ1たち」が他球団で活躍することは、プロ野球の活性化の観点から見ても大きな価値がある。