イオンvsドコモの「マイナポイント」争奪戦 上乗せ攻勢も...立ちはだかるPayPayの壁

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   国の財源を使って個人に最大5000円分のポイントを支給する「マイナポイント」が始まった。

   対象をマイナンバーカードの所有者に限定しており、手続きもかなり面倒なので、支給が始まった2020年9月1日の直前になっても申し込みは低調だ。ただ、これを機に自社ポイントを普及させようと目論む一部の決済サービス事業者が競って優遇策を打ち出しており、複雑な手続きをかいくぐった利用者は早くも恩恵にあずかっている。

  • マイナポイントめぐって「争奪戦」
    マイナポイントめぐって「争奪戦」
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国費分に加えて「付与」

   マイナポイント事業とは、あらかじめ選んだキャッシュレス決済サービスで買い物やチャージ(入金)をすると、その金額の25%分のポイント(上限は1人当たり計5000円分)をもらえる総務省の事業。景気刺激とマイナンバーカードの普及が目的だ。

   利用者1人につき選べる決済サービスは1つに限られており、選ばれれば一定の利用が期待できるため、100を超える決済事業者が参加している。その中でも優遇策に積極的なのが、携帯電話首位のNTTドコモと流通大手のイオンだ。

   利用者が決済サービスを選択する手続きは7月1日に始まっており、その前日には主な事業者が優遇策を発表している。まず踏み込んだのがイオンであり、電子マネー「WAON」は国費分に加え、イオン側が負担して10%分(最大2000円)を上乗せすると表明した。これに対抗したのがNTTドコモだ。スマートフォン決済サービス「d払い」の優遇策について、6月30日付の発表では「500円相当を付与」としていたが、他社の動向を踏まえてか7月17日には「1500円相当を付与、加えて利用額の5%分(最大1000ポイント)を進呈」と拡充したのだ。

   これで国費分を合計した還元率は、WAONの35%に対してd払いは37.5%となり、d払いがリード。ICカードで利用できるWAONに対して、d払いはスマホにアプリをダウンロードする必要があるため手間はかかるが、ポイ活(ポイントを貯める活動)にいそしむ人たちは「d払い推し」に傾いた。

   だが、これで両社のせめぎ合いは終わらなかった。

開始とともに「ダメ押し」のアピール

   マイナポイントの支給が始まった9月1日、NTTドコモは対象となる銀行の口座からd払いにチャージすれば最大1000ポイントを進呈する2カ月限定のキャンペーンを発表(※なお「ドコモ口座」不正利用の影響で9月11日現在、「d払い」への新たな銀行口座登録・変更や、一部口座でのチャージは中止されている)。イオンも同じ日、WAONにチャージすれば抽選で最大5万ポイントが当たる1カ月限定のキャンペーンを開始した。いずれもマイナポイント利用者を念頭に置いた優遇策であり、各事業者の優遇策が出そろうのを待って決済サービスを選ぼうとしていた利用者に対するダメ押しのアピールだ。

   それでも両社はマイナポイントで選ばれた決済サービスの1位を獲得できていない。ICT総研がウェブでアンケート調査(8月19~20日)したところ、1位はソフトバンク系のPayPay(22.3%)で、2位はWAON(12.0%)。d払いは4位(6.7%)だった。スマホ決済のPayPayは、マイナポイント登録者を対象に抽選で総額1億円分が当たるキャンペーンを打ち出しており、1等は100万円分が10人に当たる。抽選であるため優遇策の恩恵を確実に受けられるわけではないが、スマホ決済の中では加盟店が多いため、日常的に使っているPayPayを選ぶ人が多かった模様だ。

   なお、総務省はマイナポイント事業に4000万人分の予算を確保しているが、手続きを済ませた利用予約者は468万人(8月30日時点)にとどまっている。

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