譲渡が進まない事情は?
北条鉄道も既に国内他社の3セクに車両譲渡ができないか交渉をしていたが、多くの会社では車両に余裕がないとのこと。それでも現在、水面下で譲渡が実現しそうな協議が進んでいるとも取材に答えた。車両調達に難儀するのは、3セク各社の余裕のなさや新車製造の難しさが背景にあるという。
まず車両の新造はメーカーへの依頼から製造まで5年程かかるという状況で、他社からメーカーへの発注も重なっており、すぐの導入は容易ではない。ならば他社から余剰車両を譲渡してもらう、となるが、3セクの非電化路線であることが邪魔をする。電車と違って気動車の中古市場は潤沢ではないからだ。
北条鉄道は旧国鉄北条線を第3セクターに転換した鉄道で、もともと赤字で切り離された路線であり、経営事情は苦しい。車両を頻繁に地方私鉄に譲渡している大手私鉄が保有しているのは現在すべて電車で、非電化路線を走る気動車はない。となればJRもしくは気動車を保有する私鉄との間で譲渡の交渉をするしかないが、路線に合う条件・車齢が合うケースは少ないと北条鉄道の担当者は話している。
北条鉄道の現役車両は1999~2001年に製造されているが、これより古い年代の車両の導入は現実的ではないだろう。JRから3セクへの譲渡例は車齢20年以上の老朽車両が多く、北条鉄道の車両と同世代の気動車は各社の主力となっている。3セク他社も少数の車両で運用をまかなっている事業者が大半で余裕がない。増発・増備は本来喜ばしいことではあるが、思い通りにいかない地方鉄道の事情もついて回るようだ。