「僕はどんな時もトランパー」
すると、新聞と買い物のビニール袋を手にこちらに向かって歩いてきた白人男性(エリオット・ゴードン)が、私たちの前で足を止め、「デモをやってるのは、白人の子たち(white kids)みたいじゃないか」と会話に参加してきた。
「そうだよ、白人だ。『ブラック・ライブズ・マター』だって? 私にも黒人の友人がたくさんいるが、土地も持ってるし、レクサスに乗ってるさ」と正統派ユダヤ教徒。
「あの子らは今、ほかにやることがないんだ(The kids have nothing to do.)」とエリオットが言い、「ほかに何もやることがないんだ」と2人で連呼し始めたかと思うと、いつの間にやら東洋系の女性も加わり、一緒に大声で繰り返す。
女性は中国からの移民だった。「Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)」と正面に書かれた、トランプ大統領支持を示す赤い野球帽を被っている。
「野球もバスケも試合に行けない。ビリー・ジョエルのコンサートもダメだ。市長が許可しているのは、デモだけだからな」とエリオット。
「ここから出て行け!」と東洋系女性が叫ぶと、エリオットも「ここから出て行け!」と4度、連呼した。
「トランプ大統領は最高さ。僕はどんな時もトランパー(トランプ支持者)! トランパーだよ!(I love President Trump. I'm a forever Trumper! I'm a Trumper!)」
エリオットが愉快そうに、大声で私にそう話すのを聞いて、通りかかった車のドライバーがこちらに向かって親指を立てた。どうやら赤の他人のようだ。
それを見てエリオットが声を立てて嬉しそうに笑い、「(大統領選は)僕らが勝つんだ! 僕らが勝つんだ!(We're gonna win! W're gonna win!)」と叫ぶと、東洋系女性も「We're gonna win!」と負けずに声を合わせる。