識者「メディアの報道の中立化がプラスに」
前田幸男・東大教授(政治学)も、安倍氏の病気を理由に辞任表明したことで、国民の「同情」を集めた可能性を指摘する。その上で、メディアの報道・論調が安倍政権の負の側面ではなく、政権の功罪を総括するムードに入ったことが影響しているとみる。
「コロナ対策がうまく行っていない時のようなネガティブな報道は減り、中立的な報道の量が増えたことで、支持率低下に歯止めがかかったと言えます。中立的な露出であれば、支持率は上がる傾向があります。平成から令和への『改元』で報道量が増えた時も、安倍内閣の支持率は上昇しました」
「自民党総裁選に関する報道も、異なる意見を戦わせるようなものではなく中立的なものが多いため、自民党の支持率を高めることになります。総裁選のようなイベントもメディア露出が増えます。2000年代の民主党代表選もそうでした」
前田教授もやはり、これは短期的な現象だとみている。
「一部の世論調査を見る限り、菅氏を推す人は多くなっていますが、新内閣が安倍内閣の政策を継承することには多数派が反対しています。今後は政策での成果が大きく注目されますので、安倍政権の時とどう差別化して政策を推し進めるか、難しい課題を抱えることになると思います」